【弥生賞】オオゾラ駆けた!柴田大14年8カ月ぶり!

[ 2012年3月5日 06:00 ]

<弥生賞>レースを制したコスモオオゾラ、鞍上の柴田大はガッツポーズ

 皐月賞トライアル「第49回弥生賞」が4日、中山競馬場で行われた。9番人気のコスモオオゾラが直線で鋭く抜け出して重賞初V。2着トリップ、3着アーデントと共に皐月賞の優先出走権を獲得した。柴田大知騎手(34)は97年ラジオたんぱ賞(エアガッツ)以来の平地重賞勝ち。

【レース結果】

 左ムチに思いを込めた。好位5番手、抜群の手応えで迎えた4コーナー。「空けば勝つ。空いてくれ!!」。コスモオオゾラの鞍上で柴田大は祈った。願いが届いたかのように外のセトブリッジが後退する。スペースに飛び込んだ。夢中で叩き込む左ステッキ。内からトリップが伸びたが、手応えはこっちの方が上だ。坂で伸び切り、残り100メートルで先頭。勝利を確信した。ゴールの瞬間、左腕を力強く天へと突き上げた。

 「空いた瞬間の反応が素晴らしく、一番いいタイミングで追い出せた。これで負けたら諦めもつく。思い通りの競馬ができた」(柴田大)。97年6月29日以来、14年8カ月4日ぶりの平地重賞勝ち。これは84年以降、西田の14年12日ぶり(96年七夕賞~10年アイビスサマーダッシュ)を超え、最も間隔の空いたものとなった。

 同期に福永、和田のいる競馬学校花の12期生。しかし重賞勝利後、結婚を機にフリーとなって騎乗数が激減した。落馬負傷による長期入院も響いた。障害の騎乗も試みたが成績に直結せず06~08年は0勝。調教助手への転身を勧める声もあった。だが、悩み抜いた末に決断した。引退はしない。もう一度もがいてみよう…。

 午後の厩舎回りを始めた。ぽつぽつと騎乗馬が増えた。そこから生まれた細い糸を手繰って有力馬主の信頼を引き寄せた。マイネル、コスモの準主戦となり、昨年の中山グランドジャンプ(マイネルネオス)でJ・G1勝ち。そしてついに平地重賞も制した。「最高の気持ち。周囲の人々に感謝したい」。苦労が報われた、いい笑顔だった。

 オオゾラ自身の強さも見逃せない。1000メートル通過が63秒1のスロー。行きたがる馬が続出する中、この馬だけが馬群でピタリと折り合った。「ハミを抜いて上手に走った。本当に力がある」と柴田大。これで中山芝2000メートルは2戦2勝。渋ったコンディションでの勝負強さは特筆ものだ。皐月賞でも天気、馬場などの条件がそろえば当然、頂点を争う1頭となる。

 「一生懸命な性格がいい」(柴田大)、「競り合って強い」(高橋博師)。世代屈指の勝負根性を武器にオオゾラは1冠へと飛翔する。

 ◆コスモオオゾラ 父ロージズインメイ 母マイネシャローナ(母の父コマンダーインチーフ) 牡3歳 美浦・高橋義厩舎所属 馬主・ビッグレッドファーム 生産者・北海道新冠町ビッグレッドファーム 戦績6戦3勝 総獲得賞金7516万5000円。

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