【菊花賞】キャリア4戦、フレール“刺客”十分

[ 2011年10月19日 06:00 ]

オルフェーヴルの3冠阻止を狙うフレールジャック

 オルフェーヴルの3冠制覇に注目が集まる「第72回菊花賞」。3冠阻止に名乗りを上げるのは、6代目の3冠馬ディープインパクトを父に持つフレールジャック。良血馬が顔をそろえるディープ産駒で唯一、デビューから3連勝を飾った逸材。まだキャリアは4戦にすぎず、底を見せていない魅力は十分。神戸新聞杯でオルフェーヴルにつけられた5馬身差の逆転も決して夢ではない。

 遅れてきた大物が最後の1冠に間に合った。父ディープインパクト譲りの非凡な才能をしっかりと受け継いだフレールジャックだ。デビューはクラシック初戦の皐月賞が終わり、さらに2週間が過ぎた5月7日。経験馬相手に初勝利を飾ると、続く500万、G3のラジオNIKKEI賞を難なくクリア。デビューからわずか2カ月で新星誕生と騒がれるまでの存在になった。

 ディープ産駒で唯一となる無傷の3連勝。馬体は父とほぼ同じ440キロ前後。コンパクトなボディーに搭載されたエンジンは相当なものだ。杉村助手は「初めて乗った時にゴムまりのように弾んだ。凄い素質を感じた」と振り返る。その見立ては間違っていなかった。

 初めて一線級と対戦した前走・神戸新聞杯3着。結果だけを見ればダービー1、2着馬に完敗。勝負付けは済んだように思えるがそうではない。初の長距離戦で鞍上・福永はなだめるのが精いっぱい。それでいて直線は勝ったオルフェーヴル(32秒8)に0秒5差の33秒3の末脚を披露。スムーズに折り合えていればさらに末脚は切れたはずだ。

 「掛かったなあ。どこかでハミが抜ければいいんだけど」と福永は振り返ったが、初めて1800メートル以上の距離を経験し、それなりの手応えはつかんでいる。「前で運んで物見でもすれば。いい意味で気を抜いて走ってくれれば」と本番では先行策も視野に入れる。「稽古ではほとんど掛かるところを見せない」と友道師。経験を積むごとに激しい気性は改善されつつある。「前走は中山の時よりも落ち着いていたからね」と明かした。

 キャリアはまだ4戦。それだけに伸びしろは十分ある。デビュー170日目で菊花賞Vなら、08年のオウケンブルースリの184日目の最短V記録を更新。当初は昨夏6月の阪神デビューを目指していたが、デビュー前に放牧先でお尻を外傷。その影響が長引いて春のクラシックには間に合わなかった。「春は大きいところに使えなくて悔しい思いをしたが、ここまで焦らずじっくりとやってきた」と指揮官。ラスト1冠に懸ける思いは人一倍。史上初めて3歳で安田記念を制したリアルインパクトに続き、またもディープ産駒が常識を打ち破る。

 ▽フレールジャックの神戸新聞杯 3戦無敗馬だが、ダービー1、2着馬が相手ではさすがに3番人気(単勝6・4倍)止まり。スタートはあおり気味で道中は8番手。5番手オルフェーヴル、7番手ウインバリアシオンを見る形でレースを進める。スマートロビンのスローの逃げで向正面では内ラチ沿いで行きたがるそぶり。直線でオルフェーヴルが抜け出し、2馬身半差2着がウインバリアシオン。さらに2馬身半差の3着。態勢が決してから脚を伸ばしたが、初距離でもあり無理はしなかった印象だ。 

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2011年10月19日のニュース