【アイビスSD】頑固娘が快進撃!ヴァーゴウ重賞初制覇
今年もやっぱり牝馬だ。新潟名物の直線1000メートル重賞「第11回アイビスサマーダッシュ」が17日、新潟競馬場で行われた。1番人気エーシンヴァーゴウが残り300メートルで抜け出し、3連勝で重賞初制覇を飾った。これで同レースは牝馬が7連勝、「夏は牝馬」の格言通りの快勝だった。
重賞初挑戦でも1番人気に支持されたエーシンヴァーゴウの力は本物だった。残り500メートルを切って8頭が横一線の大混戦。残り300メートルで内から赤と黒の勝負服がグッと抜け出した。外からエーブダッチマンが迫りかけたが、福永がリズミカルに右ムチを叩き込むと、残り100メートルで一気に引き離した。ゴール前から右腕を上げた福永。完勝だ。勝ちタイムはカルストンライトオのレコードに0秒1差と迫る53秒8。新星誕生を予感させる鮮やかな勝ちっぷりだった。
「枠は内め(3番)だったが内外とも馬場がいいから出た感じで進めた。無理に出していくと掛かって甘くなるので馬のペースで。ラスト2Fから追い出したが、しっかり反応してくれた」と福永。額にさほど汗が浮かんでいないあたりが余裕のVを物語る。JRA重賞3勝目が通算100勝となった小崎師も「追い出しを我慢して、いいスピードを引き出してくれた」と主戦を称えた。
重賞制覇に到達するまでは苦労もあった。「頑固な牝馬で自分が思ったことは曲げない」と小崎師。レースで終始外に逃げようとしたり、昨年6月の阪神では道中で首を上げて操縦不能に陥り13着に大敗した。そこで気分を損ねないよう、調教時に頭絡(ハミを口内に保つ馬具)をわざわざ分解して装着するなど、馬の気持ちを優先させて接した。「難しい気性をスタッフが根気良く修正していた。何としても勝たなければいけないと感じていた」と福永。苦労は待望の重賞Vとなって報われた。
次走は北九州記念(8月14日、小倉)が有力。「オーナーや馬の体調との相談だが、せっかくのチャンスだからサマースプリントシリーズを狙いたい」と小崎師は意気込む。ヴァーゴウとは「乙女座」のこと。少し頑固な乙女の快進撃は、まだまだ続く。
◆エーシンヴァーゴウ 父ファルブラヴ 母カンザスガール(母の父サンダーガルチ) 牝4歳 栗東・小崎厩舎所属 馬主・栄進堂 生産者・北海道浦河町栄進牧場 戦績13戦6勝 総獲得賞金1億1403万2000円。
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