【フェアリーS】新星誕生!ネモシン“快挙”V

[ 2010年1月12日 06:00 ]

<フェアリーS>アプリコットフィズ(奥)との接戦を制したコスモネモシン(手前)

 桜花賞を見据える素質馬が集結した中山・フェアリーSは、11番人気の伏兵コスモネモシンが快勝。騎乗した石橋脩騎手(25=美浦・柴田人)は、デビュー8年目でうれしい重賞初V。また、10日のシンザン記念をガルボで制した清水英克師(44)は、06年の音無師(日経賞=リンカーン→高松宮記念=オレハマッテルゼ)以来となる同一週2日連続重賞制覇の快挙。牡牝ともに、クラシックへ向けて夢が膨らむ新星の誕生だ。

 「勝ったー!やったー!!」。コスモネモシンが先頭でゴールに飛び込んだ瞬間、検量室2階の調教師席から清水英師の甲高い声がこだました。前日(10日)のシンザン記念をガルボで制し、重賞初制覇を達成したばかり。2日連続でのタイトルに、厩舎スタッフの肩を抱き、両手でガッツポーズをつくって殊勲の愛馬と石橋脩を出迎えた。
 デビュー8年目となる石橋脩は、ようやくつかんだ初重賞。初のお立ち台にテレ笑いを浮かべながら「本当にうれしい」と喜びをかみしめた。カホマックスが5F56秒8で飛ばすハイラップ。3角で10馬身以上のリードを保って進む。ネモシンのすぐ前にいたアプリコットフィズが、たまらず動いていったが、末脚を信じた石橋脩は我慢した。「1度乗った時(未勝利戦2着)に、いい脚を使うのは分かっていた。ちょうどいい位置でじっとしていたし、追い出してからの反応も抜群。最後もしっかりと前をとらえてくれた」。あえて仕掛けを遅らせ、直線半ばで先頭に立ったアプリコットをゴール前でねじ伏せた。冷静な判断とパートナーへの信頼が勝利の糸をたぐり寄せた。
 「具合が良かったから、ひそかに自信はあった。レース前の装鞍所で(石橋)脩に“きょうはお前に勝たせてやる”と言って気合をつけたんだ」。表彰式を終えた清水英師は、興奮さめやらぬ表情で賛辞を続けた。「体質が強くなって体つきもゴツくなった。2走前も落馬寸前の状況から盛り返しての4着。普通の馬なら戦意喪失している。根性が凄い」。昨年は思うような結果が残せず、調教師を辞めることも考えた。だが、昨秋の同窓会で30年ぶりに再会した旧友の温かい励ましが心に響いた。「こういう仕事をしているから、みんなが見て応援してくれている。オレは甘いと思ったよ」。再びホースマンの道を歩む決意を固めた師を激励するように、愛馬が2日続けて大仕事をやってのけた。
 目標は、もちろん桜花賞(4月11日、阪神)。「馬の状態を見ながら、じっくりローテーションを考えていきたい」と締めくくった。コスモネモシンとガルボ。開業5年目の若きトレーナーが挑むクラシック物語は始まったばかりだ。(浜田 公人)

 ◆コスモネモシン 父ゼンノロブロイ 母デュプレ(母の父シングスピール)牝3歳 美浦・清水英厩舎所属 馬主・(有)ビッグレッドファーム 生産者・北海道様似町富田恭司氏 戦績5戦2勝 総獲得賞金4534万5000円。

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2010年1月12日のニュース