グループAにWRカーも! 『スーパーグリッドウォーク』に1980年代〜1990年代のWRCマシンが並んだ!!【モーターファンフェスタ2024】
まさかの個人所有のインプレッサWRCが2台
WRCの車両規定は1997年にワールドラリーカー(WRカー)が導入された。グループAに付属する形で、4WD+ターボをラインナップしないメーカーにWRC参戦を促すべく、ベース車両を4WD+ターボ化する改造を認めた規定だ。そして思惑どおり参戦メーカーは増え、”三菱以外”の既存メーカーもWRカー規定車両に移行した。
そう、4WD+ターボであるインプレッサWRX(ホモロゲーション名インプレッサ555)で参戦してきたスバルとプロドライブも、ベース車両を1.5L/1.6Lノンターボの2ドアクーペ、インプレッサ・リトナに変えてインプレッサWRCというWRカーを仕立てたのだ。
今回スーパーグリッドウォークに展示された2台のインプレッサWRCのうち、こちら1997年に使用されたまさにWRカー第一世代。スバルワークスでは1997年WRCオーストラリアラリー、1998年WRCスウェディッシュラリーに使用。その後、プライベーターの手に渡っている。
2013年に日本に戻り、2015年からレストアが進められ2022年に完了。モーターファンフェスタ2024でも、グリッドウォーク際にはボクサーサウンドを富士スピードウェイに響かせてメインストレートの配置に着いた。
そしてもう1台のインプレッサWRカーがインプレッサWRC2000。当時、プロドライブでスバルワークスチームのテクニカルディレクターを務めた”鬼才”クリスチャン・ロリオーの意欲作で、1997年から1999年まで改良を重ねたインプレッサWRC(S5)を完全に一新したモデル(S6)だ。
インプレッサWRC2000は翌年に投入が決定していたGD型のインプレッサWRCの先行開発的な意味合いもあって、2001年にはこのインプレッサWRC2000の基本コンポーネントを移植したインプレッサWRC2001が、リチャード・バーンズをドライバーズチャンピオンに導いている。
展示車両は2000年にシモン・ジャン・ジョセフ、ユハ・カンクネンが、2001年は”ポッサム”・ボーンがドライブしたもの。今回のグリッドウォークでは自走はしなかったものの、その勇姿を見ることができる貴重な機会となった。
インプレッサWRCは2024年1月12日(金)〜14日(日)に幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催された『東京オートサロン2024』にも展示され、多くの注目を集めていた。しかし、モーターファンフェスタ2024のスーパーグリッドウォークでボクサーサウンドを響かせて、他のスバルWRCマシンと肩を並べたのは貴重な機会と言えるだろう。
スバルにWRCタイトルをもたらしたグループAインプレッサ
そして今回のモーターファンフェスタ2024・スーパーグリッドウォークに参加したもう1台のインプレッサがグループA時代を戦ったインプレッサ555だ。
この車両は世界的なスバルコレクターである@BOXER_GrA_GC8の所有車で、1994年WRCニュージーランドラリーのカルロス・サインツ車。やや経年劣化が進んだステッカー類を化粧直ししたばかりで、まるでファクトリーから出てきたばかりのような姿を見せてくれていた。
グループA車両であるインプレッサ555は1993年のWRC1000湖ラリー(フィンランド)でデビューし、改良を重ねながら1996年まで使用され1997年にWRカーに切り替わっている。つまり、モーターファンフェスタ2024のスーパーグリッドウォークにはグループAインプレッサ、インプレッサWRカー第一世代(S5)、第二世代(S6)と三世代のスバルワークスマシンが並んだことになる。
しかも、このインプレッサ555は自走でピットからグリッドまで移動。WRCワークスマシンのボクサーサウンドを富士スピードウェイに響かせた。その様子、サウンドを当日の「X」のポストからご覧ください。
また、スバルを愛するライター・井元貴幸氏の試乗レポートと合わせてこのスーパーグリッドウォーク参加車両を解説しているので、一度ご覧いただければより楽しめるのではないだろうか。
スバルのWRC躍進の礎となったレガシィRS
スバルのWRCでの活躍といえば、1995年のドライバーズチャンピオン(コリン・マクレー)とマニュファクチャラーズチャンピオンのダブルタイトル、そして1997年までの日本メーカー初となるマニュファクチャラーズチャンピオン三連覇という栄光に彩られたインプレッサの印象が強い。
しかしインプレッサの活躍も、その基本コンポーネンツは1990年からスバルがワークスチーム参戦した際に使用したレガシィRSがベースになっていることを忘れてはならない。
今回展示されたレガシィRSはスバルのワークス活動を担ったプロドライブ製のグループAマシン。1992年のWRCニュージーランドラリーで地元の有力ドライバー、ピーター・”ポッサム”・ボーンがドライブした車両だ。
上記のインプレッサ555と同じく@BOXER_GrA_GC8氏の所有車両。レガシィのプロドライブ製グループA車両は、STIギャラリー(東京都三鷹市)に時折展示される1993年WRCニュージーランドラリーのスバル初優勝車が有名だが、日本国内にあるのはそれとこの1台を合わせた2台のみではないだろうか。
その貴重なプロドライブ製グループAレガシィRSがモーターファンフェスタ2024のスーパーグリッドウォークに参加。残念ながら自走ではなくボクサーサウンドを響かせることはなかったが、個人所有の歴代スバルWRCマシンが並んだ様子はまさに壮観。
車両の詳細についてはMotorFan.jpで既報のとおり。未読の方はぜひご覧いただきたい。
日本車勢に立ち塞がった最強のライバル・ランチア
これらスバルや、トヨタ、三菱、マツダのグループAマシンに立ち塞がったメーカーがWRCの名門・ランチアと一連のデルタシリーズである。スーパーグリッドウォークに参加したのは、デルタHFインテグラーレ16Vで、1989年にWRCに投入されWRC三連覇(1987年〜1989年)を達成したモデル。
こちらはコンペティションマシンではなく精巧に作られたレプリカモデルで、1989年WRCサンレモラリーにのみ投入された通称「赤マルティニ」と呼ばれる希少なワークスカラーを纏ったカーナンバー1を背負う前年のチャンピオン、ランチアワークスのエース、ミキ・ビアシオン車を再現している。レプリカとはいえ、クルマ自体は歴としたホモロゲーションモデルであることは変わりない。
個人オーナー・氷室豊さんの所有車両で、そのレプリカ化の過程はこれまでMotoFan.jpでも詳細に取材してきており、ランチア・デルタHFインテグラーレ16Vの車両解説を合わせて一読いただければ幸いだ。
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