トヨタ悲願Vならず…ル・マン独走も残り3分でまさかのストップ

[ 2016年6月20日 05:30 ]

ル・マン24時間でレース残り3分を切ってマシントラブルを起こしたトヨタの5号車

 あまりにも無情な結末だった。フランス伝統の自動車耐久レース、第84回ル・マン24時間は19日、ル・マンのサルテ・サーキット(1周13・6キロ)でゴールを迎え、トヨタは元F1ドライバーの中嶋一貴(31)を擁する5号車が、残り3分までトップを走行しながらマシントラブルのために失速。悲願の初優勝を逃した。トヨタ5号車は規定により失格。レースはポルシェが2連覇を達成し、自動車メーカー単独では最多となる18勝目を挙げた。小林可夢偉(29)の6号車は2位に入った。

 優勝をほぼ手中に収めていた残り6分、中嶋の悲痛な叫びが無線を通じて響いた。「ノーパワー!ノーパワー!」。徐々に失速し、レース終了まであと3分となりホームストレートに差し掛かったところでついにストップした。「終わるまでは無事にと、ずっと考えていた。急にパワーがなくなった。あのタイミングで止まるとはさすがに思わなかった。これもレース」と中嶋。悲願の瞬間を待ちわびていたピットのチーム関係者やクルーには、こらえ切れずに涙を流す者さえいた。

 5号車は細かいトラブルでの出遅れから徐々に挽回。17時間を過ぎたところで6号車をかわし、一時はワンツー態勢でレースを引っ張ったが、予想外のトラブルに泣いた。

 ル・マン24時間は91年にマツダが日本車として初優勝。ドライバーでは95年に関谷正徳、04年に荒聖治が優勝しているが、日本車&日本人ドライバーのコンビによる優勝はなく、今回もあと一歩のところで逃すことになった。

 ▽ル・マン24時間 1923年にスタートした伝説の耐久レース。パリ南西約200キロにあるル・マン市の常設サーキットと公道を組み合わせた全長約13・6キロのサルテ・サーキットを舞台に、24時間でどれだけ走れるかを競う。エーノディエールと呼ばれる約6キロの直線では時速350キロに達する。もっとも日照時間の長い6月に行われ、日本のマシンでは91年のマツダ787B、ドライバーでは95年に関谷正徳(マクラーレン)、04年に荒聖治(アウディ)が優勝している。

続きを表示

この記事のフォト

2016年6月20日のニュース