EVの本格競争始まる!出遅れれば経営に打撃も

[ 2010年12月3日 18:07 ]

 日産自動車が電気自動車(EV)「リーフ」を今月20日に発売することで、三菱自動車が先行していたEV市場で本格的な競争が始まる。今後の普及が見込まれるエコカーでの出遅れは経営に大きな打撃となる可能性があり、各社は開発を加速している。

 中でも日産の戦略は強気で、フランス自動車大手ルノーと合わせ2015年までに50万台分の電池生産能力を整備する。電気自動車事業では5千億円の投資を見込んでいる。トヨタ自動車がハイブリッド車(HV)でブランド力と業績を上げた経緯があり、日産にとってはEVが社運をかけた戦略となる。
 HVや家庭で充電できるプラグインHVを重視するトヨタも小型車「iQ」、ホンダも「フィット」をベースにしたEVを12年に売り出す。
 米ゼネラル・モーターズ(GM)は新型EV「シボレー・ボルト」を11年の早期に米国で本格販売。ドイツのフォルクスワーゲン(VW)も13年に欧州で小型EVを発売する。
 日産の志賀俊之最高執行責任者は「参入が多ければ充電設備などインフラ整備が進むので大歓迎」と話す。ただ、EVは1回の充電で走れる距離が短いなど課題も多い。
 しかも、普及のペースは不透明だ。日産は2020年の世界の自動車販売台数のうち、10%をEVが占めると予想しているが、多くの専門家は数%程度とみている。このため中堅メーカーではEVよりエンジンの燃費改善に注力する社もある。
 ただ、情報技術(IT)を用い電力需給を効率的に調整する次世代送電網「スマートグリッド」で、蓄電池としてEVを活用する研究が進んでおり、太陽光発電や充電設備などとセットでEVを売る事業が確立すれば、商機は広がる。
 他業種からの新規参入もしやすいEVは「自動車産業の勢力図を大きく塗り替える可能性を秘めている」(自動車アナリスト)とされ、各社の活発な動きが続きそうだ。

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2010年12月3日のニュース