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2階級王者・中谷潤人の野望 左のネクストモンスター 井上尚弥とのモンスター対決を熱望

[ 2024年1月5日 05:10 ]

ファイティングポーズを決める中谷(撮影・島崎忠彦)
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 前WBO世界スーパーフライ級王者で2日に26歳となったばかりの中谷潤人(M・T)が新たなステージに立つ。来月24日に世界3階級制覇を懸けて、WBCバンタム級王者アレハンドロ・サンティアゴ(27=メキシコ)に挑む。史上2人目の2階級4団体王座統一を成し遂げた井上尚弥(30=大橋)に次ぐ存在として「ネクストモンスター」と称される中谷。“本家モンスター”との将来的な対戦も見据える26歳に迫った。

 バンタム級転級初戦でいきなり世界王者との対決。「挑戦者の立場は初めてだけど、挑むだけなので気持ち的には楽。一発でタイトルを獲りたい」と世界3階級制覇に挑戦する中谷に気負いはない。

 異色の経歴の持ち主だ。小3から空手を始めた中谷は学年が上がると体格で勝る相手に歯が立たなくなったため、中1から階級別のボクシングを開始。2、3年で全国大会2連覇すると卒業後に単身ロサンゼルスへ渡米。元世界2階級制覇王者の畑山隆則氏らを育てた名トレーナー、ルディ・エルナンデス氏の指導を受け、現在も渡米してはスパーリング合宿で実力を伸ばしている。「気持ちの部分でルディから教わったことは多い。相手の長所をつぶして“心を折る”自分のスタイルを生んだのはルディ」と世界戦4連続KO勝利の原点を明かす。

 そんな中谷が世界で注目を浴びたのは昨年5月、米ラスベガスでのWBO世界スーパーフライ級王座決定戦。元世界王者アンドルー・モロニー(オーストラリア)を12回に左オーバーハンド一撃で沈めてKO勝ち。同12月には米スポーツ専門局ESPNの年間最優秀KO賞に選出された。

 「モンスター」井上に次ぐ存在として「ネクストモンスター」と期待される中谷は将来、本家との対戦を熱望する。「やっぱり井上選手は世界的に見てもトップの選手。戦いたい気持ちは当然ある。凄く倒しっぷりがいい井上選手のような派手さは自分にはないが、向き合った時に相手が感じるスピードだったりと、反応できない(パンチの)タイミングは井上選手にも負けていないと思っている」。あどけなさも残る26歳だが、井上に劣らない部分も兼ね備えていると強調した。

 今年から挑戦するバンタム級ではスーパーフライ級ではかなわなかった統一戦などのビッグマッチにこだわる。「ファンの方が見て中谷潤人勝てるの?と思われる試合に勝っていかないといけない。ヒリヒリした試合をしていかないと真の王者にはなれない」と昨年7月に世界5階級制覇ノニト・ドネア(フィリピン)を判定で下したサンティアゴとの転級初戦に備える。

 その先に見据えるのはパウンド・フォー・パウンド(PFP、全階級を通じての最強ランキング)1位だ。「目指すのであればやっぱり1位を狙いたい。井上選手のように、期待してもらっている以上のパフォーマンスをすることはボクサーとして大事なこと。より高い次元を目指すために評価してもらえる試合をしたい」。真の王者を目指す中谷の挑戦が始まった。

 <恒例LA合宿へ出発>中谷はこの日、試合前恒例の米ロサンゼルス合宿へ羽田空港から出発した。転級初戦に向け「死に物狂いで仕上げてくる。ケガのないように注意してやっていきたい」と気を引き締めた。これまでは約2カ月だった合宿期間を今回は約1カ月に短縮。「短期集中」で仕上げ、時差ぼけ対策などのため早めに帰国する狙いを明かした。「フィジカル練習もしっかり積んで体をつくれた」とバンタム級でも不安はない様子。「あとはいかに実戦で対応して、引き出しを増やせるか。KOを見せられるように仕上げたい」と見据えた。

 ◇中谷 潤人(なかたに・じゅんと)1998年(平10)1月2日生まれ、三重県東員町出身の26歳。小4から空手を始め、中1でボクシングに転向。U―15全国大会を2連覇した。中学卒業後に単身渡米してルディ・エルナンデス氏に師事し、17歳でプロデビュー。16年全日本フライ級新人王、17年8月に日本ユース王座、19年2月に日本王座を獲得。20年11月にWBO世界フライ級王座を獲得し、21年9月には米国で初防衛に成功。23年5月にWBO世界スーパーフライ級王座決定戦でA・モロニー(オーストラリア)に12回KO勝ちし2階級制覇。身長1メートル72の左ボクサーファイター。

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