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フジタ“Jr”ハヤト ビッグマッチ前に漏らしていた本音…レスラーの終焉へ「今は終活してるみたいな…」

[ 2023年11月19日 08:00 ]

インタビューに応じたフジタ“Jr”ハヤト(撮影・酒井卓也)
Photo By スポニチ

 東北ジュニアヘビー級王座とLIDET UWF世界王座の2冠王者であるフジタ“Jr”ハヤト(37=みちのくプロレス)がスポニチアネックスのインタビューに応じた。自身が望んで実現させた10月の高橋ヒロム戦、11月のYAMATO戦の試合前に今後のレスラー人生について本音を漏らしていた。

 「みんなにこの気持ちを体験してほしい。どれだけ病院に行くことで気持ちが落ちるか。何のために試合しているかもよくわからなくなる。体調面は一番悪い。常に痛いし、激痛。手術前に戻ってきてる」。

 昨年7月にがんの闘病を乗り越えて約5年ぶりに復帰。1年間走り抜けた上で、現状のコンディションを口にしたハヤト。

 復帰してから体が大きくなってパワーが付いている感覚や試合の楽しさが戻ってきているが、体と心のバランスが上手く取れていないという。「今までは楽しいことがあるから辛いことも乗り越えられたけど、今は楽しいことがあっても、辛い方が勝ってしまっている。自分の中で“これで終わってもいい”という時に辞めようと思っているから今は終活してるみたいな感じ」と自身の終焉が近いと感じている。

 さらに「今の思いは復帰前にはなかった。俺には医者からのストップもあるから、対人のスパーリングなども出来ない。舐めてるわけじゃないし、今やれることを精一杯やってリングに上がってる。だけどマジで“他の選手に失礼じゃない?”と思う気持ちと“俺ならもっとできる”という気持ちがぶつかって…身体はしんどくて、痛くて、耐えられなくてネガティブな方になって、ポジティブの気持ちでは戦えない。もうちょっと出来るのに、体が痛くなるから辞めようという脳をコントロール出来ないしんどさがある」と吐露した。

 以前にハヤトは「自分の中ではある程度のゴールは決まっている。だから後悔はしたくない。格闘技が好きだからこそずっと戦っていたいけど、衰える前に強いまま引退したい。自分自身の準備やモチベーションを保てるのがあと1~2年かなと思う」と格闘家としてのゴールを言及していた。

 そのゴールは以前よりも明確になってきた。「プロレス・格闘技が好きだから汚したくないし、ファンの前で倒れたくない。でも俺は、そうなってもおかしくない試合が毎試合続いている。周りも俺の試合を見て、“元気で動けるじゃん!”とわからなくなってる。俺みたいな奴にスポットライトが当たって、真面目に毎月数試合をこなしている他の人たちにライトが当たらないのは可哀想だし、めちゃくちゃ失礼。この大好きな業界を守るために辞めなきゃと思ってる」と本音を漏らした。

 そしてファンの期待に応えきれていない部分も感じていると明かした。「お客さんからの“いつも元気もらってます”とかのメッセージは嬉しいんだけど、ちゃんと向き合いたいのに向き合えてなくてファンが期待することに応えきれてない自分がいるところに申し訳なさがある。実際、身体的に出来ないし、このままリングに上がるのは良くない」。

 その心境の中で、タイミングに自身が望んだ2試合があって良かったという。「自分で望んだから10月、11月の試合は戦いたいと思っている。自分が望んだ試合が目前だからモチベーションは保てている。そういうのもぶっ壊して日本のジュニアのトップであるヒロム、その先のYAMATO戦。何かの巡り合わせだけどこれは3人の行動力もあった」と話した上で、「自分が好きなものをやらせてもらって、好きなように発言して、好きなように動いてきて、辛かったこともあるけど、楽しかった思い出をもっと楽しい思い出にしたいから今は試合していて楽しいと思っている」とつづけた。

 最後に今のファイトスタイルのままレスラー人生を駆け抜けると宣言した。「俺と同じ現象の人はいないし、これは俺にしかわからない。俺の中では決めていることがあって、試合が終わって控え室や控え室に戻る前に自分の合格ラインに達してなければ辞めようと思っている。身体のこともそうだし、試合中に立てなくなるかもしれない。そしてスタイル変えて、ずっとリングに立ち続ける人もいる。それを悪いと思ってないけど、それを俺はやらない。俺がスタイルを変えることを誰も求めてないと思うからね」と最後までハヤトらしい試合でファンを魅了させると誓った。(酒井 卓也)

 ≪YAMATOにリベンジを果たして防衛に成功≫みちのくプロレスは、18日に岩手県矢巾町民総合体育館大会を開催。ハヤトはドラゴンゲートのYAMATOを相手に東北ジュニアヘビー級王座の防衛に成功した。試合はハヤトが試合前に口にしていた「一本取ります。いろんな関節技を警戒しながらも、自分の打撃を入れていけるところで仕留める」という言葉を有言実行。最後はYAMATOの全知全能フランケンシュタイナーをカウント2で返して、ハイキック連発から必殺K.I.Dでギブアップを奪い、20分を超える激闘を制して防衛に成功した。

 試合後には「本当にギリギリで合格点かな。でも謝りたいね。やばいな…まだまだやらなきゃいけないことがたくさんあるんですけどね。まだまだ叶えなければいけないこともたくさんある。せっかく後輩も伸びてきたので、ちゃんとバトンを渡して去りたいなと思うので、もう少しだけ頑張ろうかなとギリギリ思えた」と告白した。

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