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井岡 日本男子初4階級制覇「覚悟」のラッシュ!10回TKO

[ 2019年6月20日 05:30 ]

WBO世界スーパーフライ級王座決定戦12回戦   〇同級2位・井岡一翔  TKO10回1分46秒 同級1位アストン・パリクテ(フィリピン)● ( 2019年6月19日    幕張メッセ )

10R、レフェリーが試合を止め、井岡は4階級制覇。コーナーポストに飛び上がり雄叫びを上げる(撮影・長久保 豊)
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 井岡一翔(30=Reason大貴)が日本人男子初となる4階級制覇を達成した。WBO世界スーパーフライ級王座決定戦に臨んだ同級2位の井岡は同1位アストン・パリクテ(28=フィリピン)に鮮やかな10回TKO勝ち。2年2カ月ぶりとなった国内のリングで、前人未到の偉業をなし遂げた。4階級以上制覇は世界で男子20人目、世界戦15勝は日本人歴代最多となった。

 さまざまな思いが心の中ではじけた。10回TKO勝ちで日本人男子として初の4階級制覇を達成。“未到の境地”に到達し、その名を歴史に刻んだ井岡は、両手を突き上げて雄叫びを上げた。目にはうっすらと涙も浮かんでいた。

 「終わった瞬間は興奮し過ぎて覚えていない。このベルトを獲るために人生を懸けてやってきた。いろんな意味で重い。8年前にミニマムで世界王者になった時の感情に一番近いかもしれない」

 序盤はパリクテの長いリーチに苦しんだが、4回以降はリズムをつかんだ。7回には足を止めて打ち合い。「勝負にきたなと思った。覚悟を持って打ち合うしかないと思った」。この勇気が勝利を引き寄せた。10回、強烈な右カウンターでパリクテをぐらつかせ、一気のラッシュで勝負を決めた。世界戦通算勝利数は15となり、具志堅用高を超え、日本歴代単独1位に浮上した。

 17年末に引退宣言も昨年7月に復帰を表明。大みそかにマカオで4階級制覇を懸けてドニー・ニエテス(フィリピン)と対戦し、1―2の判定で敗れた。そのニエテスの王座返上で再び巡ってきたチャンス。8週間の米ラスベガス合宿では、アマチュアの米代表選手らとスパーリングを重ね、パリクテ対策を練り上げたが、最大の敵はプレッシャーだった。井岡は「一度引退して、またボクシングに足を踏み入れて後戻りできないし、リングで証明するって言って大みそかに負けて…勝つ選択肢しかなかった」と明かし、「応援が力になった。自分に期待してくれる人たちに見せたかった景色を見せられた」と胸を張った。

 私生活では17年5月に結婚したタレント谷村奈南と昨年11月に離婚したが、新パートナーが今秋にも第1子を出産予定。「生まれてくる子供を世界チャンピオンとして迎えたかった。それもモチベーションになった」。近日中に“けじめ”として婚姻届を提出する。

 4階級制覇がゴールではない。視線の先にあるのは海外でのビッグマッチ。「拠点を海外に移して世界に名の知れた選手とやりたい」。井岡の描くストーリーには続きがある。

 《無冠→王座は令和初》井岡は世界主要4団体で史上20人目の4階級制覇を達成。ミニマム級からはローマン・ゴンサレス(ニカラグア、帝拳)、ドニー・ニエテス(フィリピン)に続き3人目。世界戦通算15勝は具志堅用高を抜き日本人単独1位。令和になってから王座を獲得した日本人は井上尚弥に続き2人目。井上はWBAバンタム級王座を保持したままIBF王座を獲得して統一したため、無冠から王座を奪取したのは井岡が初めて。

 ▼内山高志(元WBA世界スーパーフェザー級王者)一翔が停滞していた頃から練習を見ていたのでうれしい。7回に下がらないで前に出て、自分のボクシングを貫いたのがよかった。4階級制覇といったら、自分がウエルター級までやるようなもの。軽量級は体重差が大きく影響するし、凄いと思う。

 ▼田中恒成(WBO世界フライ級王者)ポイントはパリクテと思ったが、7回のワンチャンスを生かした。まさかKO決着とは思わなかった。こんな大切な試合で、しかも強い相手にKOで勝つんだから、ボクサーとして凄い。

 ▼拳四朗(WBC世界ライトフライ級王者)テクニックが凄い。出入りがはっきりしていて、ポイントの取り方がうまい。勉強になる。(京口は)プレッシャーのかけ方が強い。統一戦となれば、ぜひやりたい。

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