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元WBA世界Sバンタム級王者・下田 現役時代の失敗談明かす「家のチャイム凄い鳴らされた」

[ 2019年4月28日 17:40 ]

元WBA世界Sバンタム級王者・下田(右)と山本トレーナー                             
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 元WBA世界スーパーバンタム級王者の下田昭文(34)が鍼灸、柔道整復師を養成する東京医療福祉専門学校(中央区)で講演を行った。帝拳ジムの元トレーナーで、プロゴルファーの倉本昌弘や深堀圭一郎のトレーナーを務めた山本忠雄講師の特別講座で、自らの経験を踏まえ受講生にアドバイスを送った。

 同校はスポーツ選手のトレーナーの育成に力を入れており、下田は理想的なトレーナー像として技術に加え人間性も重要だと説いた。「選手には、寄り添う存在が大事。腕も大事だけど、話しやすかったり、人間性だと思う。それこそ選手と寄り添うことが大事」と話した。

 下田は20歳の頃に足底筋膜炎のケガを負った。当時はまだ若く、自覚の足りなさから病院に行く予定をすっぽかそうとした。その時に山本氏が自宅まで来て、自らを病院まで連れていってくれたという。「山本先生が家まできて、チャイムを凄い鳴らされた。僕が悪いんですけど。先生にはいろいろしてもらい、病院も紹介していただいた。本当に何から何までやってもらった。先生の立ち位置は、選手とコーチの真ん中のクッション役だった。スポーツ選手はそういう人がいないとマズいと思う」と振り返った。

 下田は2011年1月に李冽理(リ・レツリ)に勝利し、WBAスーパーバンタム級王座に就いた。しかし、同7月に米国で行われた防衛戦でリコ・ラモスに敗れ陥落した。「気持ちが入り過ぎた。逆に言えば(試合前に)追い込み過ぎた。自分の考えを通して、周りの意見を聞かなかった」と敗因を分析。その上で「精神的に弱かった。海外での防衛戦で結構プレッシャーというか、(周りの)期待も大きかった。それに負けちゃった。自分をめちゃくちゃ追い込んで。追い込まないと不安になった。だから120%やっちゃいけないと思った」と反省を交え振り返った。

 そうした姿を間近で見てきた山本氏は「トレーニングをやり過ぎて困るのはケガ。(スポーツトレーナーは)選手に対してこれ以上やったらダメ、ケガしますよということをはっきり言えるようにしないといけない。そのためにコンディショニングや体のケアの勉強に加え、トレーニングの知識もしっかり身に付けてから選手と一緒にやる必要がある」と指摘した。下田も「アスリートはどうしても日々の生活で向上しようという気持ちがあるから、やり過ぎてしまうことがある。そういう時に(スポーツトレーナーが)止めてくれればいいと思う。そういう部分で(選手の)体のケアをすることも大事だと思います」と応じていた。

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2019年4月28日のニュース