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尚弥 KO勝ちで欧州進出だ、“バンタム級王国”英国に名前売る

[ 2017年12月29日 05:30 ]

WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ   王者・井上尚弥≪12回戦≫同級6位ヨアン・ボワイヨ(フランス) ( 2017年12月30日    横浜文化体育館 )

ボワイヨ(右)と向かい合う井上尚弥
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 ダブル世界戦の調印式と記者会見が28日、都内のホテルで開かれ、7度目の防衛戦となるWBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(24=大橋)が欧州へのアピールを宣言した。9月に米国デビューを果たし、現地で高い評価を得た井上は今回、プロ15戦目で初めて欧州の選手と対戦。英国勢が幅を利かすバンタム級でのビッグマッチ実現へ、KOでインパクトを与える決意を口にした。

 井上が欧州進出に興味を示した。フランス人選手に勝って欧州へアピールしたいかと問われ「今、英国のボクシングが凄く熱い。今後そういうところでも試合ができれば」と即答。「ここでいい試合をして、アピールしていきたい」と続けた。

 今回でスーパーフライ級を卒業し、来年はバンタム級へ転向。3階級目で希望するのは「スーパーフライ級では王座を獲ったナルバエス(アルゼンチン)戦だけだった」と残念がるビッグマッチの実現だ。「バンタム級では統一戦とか、必ずデカい試合をしていきたい。ここでつまずいたら、バンタム級とか言ってられない。KOで勝って来年へつなげたい」と意気込んだ。

 現在のバンタム級は山中慎介(帝拳)と再戦予定のWBC王者ネリ(メキシコ)を除き英国勢が主役だ。WBAスーパー&IBF王者バーネットとWBA正規王者マクドネルが英国人で、世界戦最速記録の11秒KOで有名になったWBO王者テテ(南アフリカ)も英国が主戦場。元々強すぎて対戦を避けられている上に、資金力を誇る英国勢とのマッチメークは困難が予想されるが、無視できない存在にまでなればビッグマッチが近づく。大橋秀行会長は「難しければ難しいほど、やりがいはある」と話した。

 米国デビュー後初の試合とあって前売り券は完売。今回は欧州への中継はないが、ボクシングをあまり扱わないスペイン紙アスは27日付で「エル・モンストロ(怪物)。スーパーフライ級では誰も対戦したがらない」と報じた。会見に出席したWBO立会人、サッソ氏(プエルトリコ)の「世界中が“モンスター”と認識している」との表現は大げさではない。

 ▽欧州のボクシング 近代ボクシング発祥国の英国を中心にドイツ、フランスなどが伝統国。移民系選手が活躍しやすく、アマチュアでの活躍をもとにロシアをはじめ旧ソ連系の国々も好選手を輩出している。近年の英国は12年ロンドン五輪組がスター選手に成長したほか、国内の人気選手同士を対決させるマッチメークが好評。大きな試合会場も多く、4月に行われたジョシュア―クリチコのヘビー級世界戦はロンドンのウェンブリー競技場に観衆9万人を集めた。

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