井上尚弥の弟・拓真 復帰戦で判定勝ちも「これでは世界とは言ってられない」
ボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(24=大橋)の弟で、元東洋太平洋同級王者の井上拓真(21=同)が30日、東京・後楽園ホールで行われた8回戦で日本同級2位の久高寛之(32=仲里)に3―0で判定勝ちした。
井上拓は昨年末に一度はWBO世界バンタム級王座への挑戦が決まっていたが、右拳を脱臼して手術を受け、無念のキャンセル。約1年ぶりの試合で4度の世界挑戦経験があるベテランを退け、プロデビューから9連勝(2KO)とした。久高は25勝(11KO)17敗1分け。
立ち上がりの井上拓はブランクの間に鍛えたという左で距離をつくり、飛び込むような左フックを当てるなど上々のスタート。しかし、頭を下げて接近戦を仕掛けてくる久高を持て余し、右を食った後にムキになって打ち合う場面も。8回には右で相手の左目尻を切り裂いて大流血させたが、テンションの上がった久高との打撃戦にもつれ込み、ダウンを奪えないまま最後は返り血を浴びながらの打ち合いで終了ゴングを聞いた。ジャッジの採点は97―94、98―93、98―92だった。
井上拓は「いい経験になって楽しめた」と話しながらも、「練習したことを出せてない。これでは世界とは言ってられない。もっと試合でアピールしないと」と反省。父・真吾トレーナーは「ボクシングとしてはいい試合。半分ぐらいは(パンチを)外してほしかったけど、ファイターとして引きたくないのも分かる」と打ち合いを評価した。主要3団体のスーパーフライ級で世界ランキング入りしているが、大橋ジムの大橋秀行会長は「世界戦は来年になる。バンタム級でやらせたい」と今後の方針を口にした。
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