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木村、王座奪取 大金星!完全アウェーで五輪連覇の強敵TKO

[ 2017年7月29日 05:30 ]

WBO世界フライ級タイトルマッチ12回戦   ○同級6位・木村翔 TKO11回2分28秒 王者・鄒市明● ( 2017年7月28日    中国・上海オリエンタルスポーツセンター )

チャンピオンの鄒市明(右)を攻める木村翔
Photo By 共同

 デビュー5年目で世界初挑戦の木村翔が大番狂わせを起こして世界王者となった。敵地・上海で08年北京、12年ロンドン両五輪ライトフライ級金メダリストの王者・鄒市明から11回にダウンを奪い、TKO勝ちした。日本人ボクサーの海外での世界王座奪取は9人目、10例目で中国での獲得は初。日本ジム所属の世界王者は史上最多の13人となった。

 逃げ回る五輪王者を捕らえた。11回、ラッシュをかけた木村はロープ際で連打。膝をついた王者は起き上がったものの足元が定まらず、レフェリーは試合を止めた。「嫌がっているのが分かったので一気にまとめようと思った。ポイントでは負けていたかな。後半は相手が疲れていたので前に、前に出ようと思った」。歓喜の中で分析は冷静だった。

 完全アウェーのリング。ブックメーカーのオッズは鄒市明の勝利1・03倍に対し、木村は9・02倍だった。終始前へ出てボディーを打ち込んだが、鄒市明にフットワークでいなされる場面が続き、4回には右目尻を切って流血。だが、海外での試合で経験を積み、6月末からはタイで約2週間、世界ランカーらと週4回のスパーリングで鍛えた木村には「ブーイングも力に変える」と言う精神力があった。

 高校でボクシングを始めたがすぐに挫折。「普通に仕事をする生活をしていた」23歳の時に「物足りない」と再開した。上京して青木ジムに入門。酒を配達する仕事をしながら練習に明け暮れた。1回KO負けデビューからはい上がり、昨年11月にWBOの地域王座を獲得して世界挑戦の機会をつかんだ。

 20歳の時に母・真由美さんを病気で亡くし「ボクシングをやっていた時は褒めてくれた。世界のベルトを持って墓参りしたい」と話していた。歴史的快挙で親孝行を果たした。

 ▼鄒市明 日本からはるばる来た木村選手に拍手を送ってほしい。負けてしまったが、この試合で中国でのボクシングの関心が高まったのであれば良かった。

 ▼有吉将之青木ジム会長 信じられない。前半はボディー攻撃で後半勝負という作戦だった。ワンチャンスをよくものにした。あそこしかないところで決めたのはたいしたもの。

 ◆木村 翔(きむら・しょう)1988年(昭63)11月24日、埼玉県熊谷市生まれの28歳。23歳で本格的にボクシングを始め、13年4月のプロデビュー戦は1回KO負け。16年11月、坂本真宏(六島)に判定勝ちして空位のWBOアジアパシフィック・フライ級王座を獲得。海外はタイで3試合、香港で1試合を経験。身長1メートル65の右ファイター。

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2017年7月29日のニュース