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指笛は鳴らなくても、沖縄の夢を背負って――WBC世界フライ級タイトルマッチ

「具志堅ジャンプ」を披露する比嘉。本当に宙に浮いています
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 【中出健太郎の血まみれ生活】指笛の形は大きく分けて3つあるという。(1)両手の人さし指と中指をそろえ、口に入れて吹く(2)親指と中指でつくった輪の部分を吹く(3)鍵型に曲げた人さし指を吹く。どれを試してもピューピューと高音を響かせる、同じ沖縄出身の後輩ボクサーを、比嘉大吾(白井・具志堅)は恨めしげに見つめていた。「水泳、指笛、三線。沖縄の人ならみんなできると思われている3つのことが、できないんですよ」。泳げないわけではないが、あまり速くないという。

 21歳の比嘉は5月20日に東京・有明コロシアムで、WBC世界フライ級王者ファン・エルナンデス(メキシコ)への世界初挑戦が決まった。4月4日からは千葉・昭和の森で、ジムメート2人と約1週間の走り込み合宿を実施。指笛を鳴らしていたのはプロデビューを控える大湾硫斗(おおわん・りゅうと)で、昨年の全日本フェザー級新人王の木村吉光も同行した。指笛では完敗だった比嘉だが、取材に訪れた日の練習では山道に設けられた急勾配の階段ダッシュで7本中6本でトップ。過酷なメニューを消化した後は、腹ばい状態から両手で両足を持ち腹筋の力で空中に浮き上がる通称“具志堅ジャンプ”も披露して、後輩たちにドヤ顔を向けた。

 元WBA世界ライトフライ級王者・具志堅用高氏の映像を見て高校時代にボクシングを始め、具志堅氏が会長を務めるジムからデビューした比嘉は、昔ながらの沖縄出身選手らしいファイタースタイル。相手の懐へ入っていって強打を振るい、プロデビューから12戦連続KO勝ちでフライ級のWBCユースと東洋太平洋王座を獲得した。具志堅会長と同じ21歳での世界王者を目標に掲げていたが、WBCランキング1位に浮上して22歳になる8月よりも前に世界挑戦のチャンスをつかんだ。

 有明コロシアムのリングは初めてだが、会場は訪れたことがある。プロデビュー直前の2014年5月、プロバスケットボールbjリーグの琉球ゴールデンキングス(現Bリーグ)の試合を観戦し、ファイナル制覇の瞬間に立ち会った。「バスケットを見るのは初めてだったんですが、凄かったです」。琉球と言えば国内随一の観客動員と、沖縄民謡や指笛に彩られた熱狂的な応援スタイルで有名。国立代々木競技場で行われた昨秋のBリーグ開幕戦でも、ホームの東京を応援では圧倒した。

 これまでの比嘉の試合には首都圏在住の沖縄出身者らが多く駆けつけていたが、世界戦の今回は地元の浦添市や、高校生活を送った宮古島からも応援が来るという。「ツアーを組むらしいです。飛行機は抑えたから、あとはチケットが欲しいという人もいました」。キングスの試合のように、島人(しまんちゅ)の指笛と声援で沖縄と化した有明を舞台に、自身も栄冠をつかむのが理想だ。「KOで勝ったら、ヒーローですね」。夢見るような口調でつぶやいた。(専門委員)

 ◆中出 健太郎(なかで・けんたろう) 2月に50代へ突入。スポニチ入社後はラグビー、サッカー、ボクシング、陸上などを担当。現在はボクシングを連日取材するほか、専門委員コラム、スポーツ部記者コラム、本紙2面「十字路」月曜日付も執筆。かつてボクシングを担当した際、沖縄での取材で具志堅会長に「沖縄の歌を聴きに行きましょ〜」と言われ、民謡の生演奏を期待していたら、ジャズ喫茶のような店であったことは忘れない。

[ 2017年4月12日 09:15 ]

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