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尚弥“脱力”でV3 ケガの拳守るため「7、8割の力で」

[ 2016年8月29日 05:30 ]

父・真吾トレーナーを相手にミット打ちする井上尚

WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ 王者・井上尚弥≪12回戦≫同級1位ペッチバンボーン・ゴーキャットジム

(9月4日 神奈川・スカイアリーナ座間)
 3度目の防衛戦に臨む王者・井上尚弥(23=大橋)が28日、横浜市内のジムで練習を公開した。5月のV2戦で痛めた両拳を守るため今回からバンデージの巻き方を工夫したほか、7、8割の力で打つスパーリングを約100ラウンド消化。課題のディフェンスにも磨きをかけ、一発ももらわない完勝で来年にも計画するWBC世界フライ級王者ローマン・ゴンサレス(29=ニカラグア、帝拳)戦へアピールする。

 井上尚は入念にバンデージを巻いてから練習を開始した。「(拳を巻く)周回を増やしたり、親指からしっかり巻いて隙間を埋める」工夫を施した新たな巻き方だ。「専門家に頼んで巻き方を変え、全体に厚みを持たせた」と父・真吾トレーナー。この日はミット打ちにとどめたが、井上尚は「スパーでも(拳への負担が)軽減されていると感じる」と明かした。

 強打の代償として拳のケガに泣かされてきた。5月のV2戦は試合中に両拳を痛めて判定勝ち。拳を守る努力の一つがバンデージの工夫であり、7、8割の力で打つパンチだ。V3戦へ向けては2階級上のWBO世界スーパーバンタム級8位セルバニア(フィリピン、カシミ)をパートナーに2週間のスパーリング。「(相手はパンチを)我慢できている感じだったけど、同じ階級なら7、8割で全然いける」と感触をつかみ、「拳と相談して、ここと決めたら爆発力でいく」と話した。

 パンチ力がある相手とのスパーでは、課題とするディフェンス面も強化した。V2戦では隙を突かれる場面があっただけに、外すステップ、打ち終わりのガードやポジショニングを細かくチェック。大橋秀行会長は「元々ディフェンスはいいけど完璧に近くなった」と評価し、井上尚も「何もさせずに、しっかり倒して勝ちたい」と一発ももらわずKOする構えだ。

 全ては、全階級を通じて最強と評価されるゴンサレス戦を見据えたものだ。V3を達成すれば、ゴンサレスが4階級制覇に挑む9月10日のWBC世界スーパーフライ級王者クアドラス(メキシコ、帝拳)戦視察のため渡米予定。「次に控える試合へ、しっかりアピールする。ディフェンスも常に先を考えてのこと」。完勝こそが井上尚をビッグマッチへ近づける。

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