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アリ氏、米南部で宗教葬 イスラム教徒ら数千人が功績称える

[ 2016年6月10日 05:07 ]

故郷のケンタッキー州ルイビルで営まれたアリ氏の葬儀(AP)

 3日に74歳で死去したボクシング元世界ヘビー級チャンピオン、ムハマド・アリ氏のイスラム教にのっとった葬儀が9日、出身地の米南部ケンタッキー州ルイビルで営まれた。参列したイスラム教徒ら数千人は、黒人差別撤廃の公民権運動の象徴で、米国で最も有名なイスラム教徒でもあるアリ氏がリング外でも残した功績をたたえた。

 米メディアによると、葬儀会場は1960年代にアリ氏がボクシングの試合で勝利した場所。参列者の宗教を問わず誰でも参加できるようにしたいとのアリ氏の生前の希望に沿った式となった。

 アリ氏の遺体が入ったひつぎがゆっくりと運ばれると、集まった参列者らは静かに祈りをささげ、最後の別れを告げた。トルコのエルドアン大統領や、ボクシング世界5階級制覇で知られるシュガー・レイ・レナード氏ら著名人も参列した。

 キリスト教徒で黒人差別撤廃の公民権運動の指導者ジェシー・ジャクソン師は、アリ氏はボクシングのチャンピオンとしてよりも人権活動家として語り継がれるとし「リングの中でも外でも闘いをやめなかった」と称賛した。

 ルイビルに住むソマリア系米国人の高校教師ハムザ・ハムザさん(61)は「イスラム教徒を勇気づけ少数派の権利のため闘ったチャンピオン。われわれイスラム教徒のお手本だ」と語った。

 アリ氏は64年、ヘビー級チャンピオンになった翌日イスラム教徒であることを公表。ことしの大統領選で共和党候補指名が確定している実業家トランプ氏がイスラム教徒の入国禁止を唱えたことに対し、名指しは避けながらも批判していた。

 引退後はパーキンソン病で長い闘病生活を送り、敗血症性ショックのため死去した。(共同)

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2016年6月10日のニュース