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粟生、流血陥落「焦った」0―3判定 4度目防衛失敗

[ 2012年10月28日 06:00 ]

右目上の流血が止まらないまま12回終了のゴングを聞いた粟生

WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチ ●粟生隆寛 判定 ガマリエル・ディアス○

(10月27日 東京国際フォーラム)
 粟生隆寛(28=帝拳)が4位ガマリエル・ディアス(31=メキシコ)に0―3の判定で敗れ、4度目の防衛に失敗した。序盤から相手に主導権を許す苦しい展開。ローブローなどで相手に2ポイントの減点が与えられたが2~4点差をつけられ、WBC世界フェザー級王者だった09年7月にエリオ・ロハス(ドミニカ共和国)に敗れて以来の黒星を喫した。本人は現役続行を希望。日本人の現役世界王者は5人となった。

 歓喜のディアスとは対照的に、赤コーナーの椅子に座った粟生はぐったりと肩を落とした。3回のバッティングで左眉を赤く腫らせた前王者はぼう然と控室へ。「力が足りなかった。対応力が足りなかった」と必死に言葉を絞り出した。

 序盤から右を被弾し、後手に回ってパンチが単発になった。さらにバッティングでカットした左眉の傷が8回に大きく開き大量の鮮血が視界をさえぎった。「(初のカットで)焦った。片目で戦っているようだった」と平常心を維持できなかった。

 試合1カ月前のスパーリングで、粟生は「足が動かなかった。(V2戦で苦戦した)ボスキエロ戦みたいだった」と不安を口にしていた。帝拳ジムの本田明彦会長(65)は試合間隔が7カ月あいたことも敗因に挙げたが、今回も12キロの減量に苦しんだように、試合によって好不調の波ができる弱点も露呈した。

 勝てば海外での防衛戦、さらには内山高志との統一戦と夢舞台が待っていたが、すべてが白紙になった。それでも、控室で傷をガーゼで覆った粟生は「一から出直したい」と宣言した。高校6冠や世界2階級制覇を達成したエリートには大きな挫折となったが、28歳の気持ちはまだ折れていない。

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