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“名伯楽”金沢会長「いじめ相談」スタート

[ 2012年8月31日 06:00 ]

いじめ問題対策の一環として、ジムで相談を受け付けることを明かした金沢会長

 全国でいじめ問題が深刻化する中、ボクシング界の“名伯楽”が立ち上がった。徳山昌守(37)ら世界王者を輩出した金沢ボクシングジムの金沢英雄会長(65)が、大阪市生野区の同ジムで、31日から「いじめ相談」をスタート。いかつい外見とは裏腹に、門戸をオープンにして「いじめられている子はもちろん、いじめている子も気軽に相談に来てほしい」と呼びかけている。

 大津市の中学生自殺など、いたましい事件を聞くたびに金沢会長は心を痛めてきた。「自分にも何かできることがあるはず」。考え出したのが、気軽に悩みを打ち明けられる場所の提供だった。

 学校帰りに立ち寄れるようにと、目につきやすいジムの入り口に、費用2万1000円をかけて「いじめそうだんじょ かなざわじむ」と書かれた縦1・8メートル、横60センチのトタン製看板を設置。「できることは何でもするつもり。子どもたちが希望すれば、徳山にも協力してもらう」とジム一丸でのバックアップも約束した。

 元世界王者の内藤大助(38)は学生時代にいじめを受けながら、ボクシングと出合い、頂点まで上り詰めた。金沢会長は「学校では教えてくれないことを教えたい。子どもたちの可能性を広げてあげたい」と言葉に力を込める。

 「やりたい子にはサンドバッグ打ちや、ヘッドギアを着けて試合もやらせます。現代の子は孤独。みんなで一生懸命汗を流して、仲間意識を芽生えさせてあげられたら」。苦しいときに支え合える仲間の大切さを訴えながら「直接、学校やいじめている子の家に行ったりしますよ」と“仲介役”にも名乗りを上げた。

 森川ジョージ氏の人気漫画「はじめの一歩」も、いじめられっ子がボクシングで成長する姿を描いている。「ボクシング界の社会への恩返しの意味もある」と話す金沢会長は「今後は、北海道から沖縄まで、すべてのジムに呼びかけていきます。1枚の看板から、全国に広がっていけば」と、かつて務めた西日本ボクシング協会長時代に培った人脈を駆使、自らの活動が“はじめの一歩”となることを願った。

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2012年8月31日のニュース