佐藤トホホ…涙の世界獲り一夜明け職務質問「またか」
プロボクシングＷＢＣ世界スーパーフライ級の新王者・佐藤洋太（２７＝協栄）が王座奪取から一夜明けた２８日、都内で会見し、知名度アップを狙った防衛ロードを突き進むことを宣言した。会見に向かう途中、警察官に職務質問されたことを暴露。話題性のあるマッチメークで、今回深夜放送だったテレビ枠から脱却しゴールデンタイム進出を目指す。
リング上で大の字になることよりも、屈辱的なことかもしれない。王座奪取の余韻もさめやらぬ、この日、佐藤は会見に向かう途中にまさかの出来事に遭遇した。
午前１０時ごろ、自宅のある小平市から西武新宿線に乗り、西武新宿駅に降り立った時だった。「君ちょっと」。突然、警察官に呼び止められ職務質問を受けた。王者の証言では、生涯で５０回は超えているという。つい１週間前にも受けたばかりだが、世界王者になりながらの仕打ちに「またかと思った」と、苦笑いするしかなかった。
前日の激闘で腫れた顔とボサボサの髪。上下黒色のジャージー姿で両足裏のマメがつぶれ「ヒョコヒョコ歩いていた」。しかもリュックサックの中には趣味のスケートボードで使用するスパナなどの工具。完全に不審者と思われ、いつもは５分で終わる質問も、この日はなかなか終わらない。たまらず「僕、昨日ボクシングで世界獲ったんですけど」と明かしても、「あ、そう」と軽く受け流された。
前夜は地上波で生中継されず、深夜の録画放送だった。ボクシング界では一躍有名になっても、世間の認知度は予想外に低かった。「悲しかった。もっと名前が売れたらそんなことないかな」。変則スタイルやタトゥー王者としてブレークする下地はあるだけに、「佐藤洋太」の知名度を高めるためには防衛ロードを突き進んでいくしかない。防衛戦は早ければ６月に予定されているが、ＷＢＣ同級６位にはかつての同門、亀田大毅もいる。全国区の大毅との対戦が実現すればゴールデン進出は間違いなし。深夜放送からの脱却で、全国民、いや全警察官の視線をクギ付けにしてみせる。
≪チャンピオンへの職務質問≫
☆元ＷＢＡ世界ライト級王者・小堀佑介氏 ０８年５月の世界戦前の公開練習後、所属ジムのある東京・大塚の角海老宝石ジムの近くをジャージー姿で歩いていた時に警察官から職務質問を受ける。ジムに掲げてある自身の日本王者時代の写真を見せて事なきを得たが知名度のなさを痛感。「職務質問されなくてもいいくらいに有名になりたい！」
☆ＷＢＣ世界スーパーフェザー級王者・粟生隆寛 今年に入り自宅のある東京・王子で自転車を運転していた時に警察官に職務質問を受ける。窃盗の自転車と疑われ調べられた。柏署で一日署長を務めたこともあるだけに「自分の方が役職で上だったこともあるのに…」と不満顔。
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