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無敗の強者も完敗「チャンピオンは強かった」

[ 2009年4月26日 11:11 ]

 圧倒的な不利は承知の上だった。わずかな可能性にかけて上った敵地のリング。日本人最重量級のミドル級王座獲得という佐藤の夢は、王者の完ぺきなボクシングの前にもろくもついえた。「チャンピオンは強かった。当たり前の結果で応援してくれた人に申し訳ない」とうなだれた。

 1回から世界の洗礼を浴びた。シュトゥルムの矢のような左ジャブが、正確に佐藤の顔面に突き刺さる。パンチを受けるたびにあごは跳ね上がり、右のまぶたは腫れていった。
 14戦全勝、13KOと自信のあったパンチも空回りした。「カウンターを狙っていた」と振るった拳はシュトゥルムの堅固なガードに阻まれた。右ストレート、ボディーブローと王者の多彩なパンチを受け、次第に足は動かなくなった。7回に試合を止められた瞬間、佐藤は無念さをあらわにした。
 プロデビューから白星街道をまい進し、東洋太平洋王座を4度防衛した。強者がそろうミドル級で日本人として3人目の世界挑戦。竹原以来の快挙達成はならなかった。「この階級でチャンスが回ってくるのは難しい」。一世一代の闘いで挑んだ世界の壁はあまりに厚かった。

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2009年4月26日のニュース