阪神退団の福留 背番号「8」継承のドラ1・佐藤輝に“熱い”金言「失敗恐れるな がむしゃらに」

[ 2020年11月23日 05:30 ]

阪神ドラフト1位・佐藤輝(撮影・成瀬 徹)  
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 今季限りでの阪神退団が決まっている福留孝介外野手(43)が22日、本紙の独占取材に応じ、背番号「8」を継承するドラフト1位・佐藤輝明内野手(21=近大)に成功するための金言を授けた。同様に鳴り物入りでプロの世界に飛び込んだ自らの経験を踏まえた言葉には重みがあった。 2020ドラフト指名選手一覧

 今月6日の退団発表後は沈黙を続けていた福留が、背番号8の後継者のために口を開いた。

 「誰が付けても、自分の番号、色にしていけばいい。気を使って“福留選手のようになれれば”とか言ってくれているみたいだけど(笑い)。佐藤君がちゃんと自分の色にして頑張ってほしいなと思う」

 最初の金言は“失敗を恐れるな”だ。

 「ドラフト1位で入って来たから完璧かと言えばそうじゃない。新人なんだから失敗していい。阪神は特別な球団だから、周りのドラフト1位と比べれば大変だろうけど、そんなことを気にしてもしょうがない。堂々と自分が大学までやってきたことをやればいい。プロに入って“うまくやろう”とか“きれいにやろう”じゃなく、どんどん失敗してもいいと思う。最初からうまくいくというのは、よほどのことだし、逆に後々、あまり良いことがないんじゃないかと僕は思う。この世界では1年生。“ここから上しかないんだ”と思ってやればいい。もちろん、試合には自信を持って入ればいいし、練習では“自分が一番下手”という気持ちでやればいい」

 6日には鳴尾浜球場で若虎たちにも“限界をつくるな”“一人で考えろ”と熱いメッセージを残した。佐藤輝にも通じる言葉だ。

 「自分で“ここでいっぱい”と思ったら全てが終わる。“俺はできる”と思い続けていれば、できる可能性が広がる。試合で打席に入った時に“もっとこうしろよ”とは誰も言ってくれない。投手対自分、捕手対自分という勝負をしないといけない。だったら普段から一人で考える時間をつくらないと」

 一度始めたことは、まずやり通す。だからこそ成長が生まれる。メジャーを含めたプロ22年間の極意だ。

 「1年目から難しいことをやる必要はないし“えっ、もう1年間終わった?”というぐらい必死にやればいい。“あれが違う、これが違う”と言っても、全部違うかもしれない。がむしゃらに1年間通してみないと分からない。“こうしたらああなるな”とか先に考えてしまったら、頭でっかちになって前に進めない。“これをやれ”と言われたら、とことんやってみて、違っていたら、次の年に同じことを言われた時に考える。中途半端に“違うな”とすぐやめてしまうと、何年後かにまた同じことを繰り返す。忘れちゃっているから。1回やりきって失敗していたら“これがダメならこっちを”ともう一つの引き出しを引っ張ってこられる。継続は力なりというけど、それが正解か間違いかはやらないと分からない。“ちょっと違うな”とやめていたら何の意味もない。継続した先に何かの答えがあれば、その答えと向き合って次に進める。こんなこと言っても1年目の選手には難しいかな(笑い)。まずはがむしゃらにやればいいと思う」

 タテジマを脱いでも虎への恩は忘れない。新たな背番号8の躍動を楽しみにしている。(山添 晴治)

 ▽福留のプロ1年目 日本生命から逆指名で中日に入団した99年。当時内野手の福留は星野監督の育成方針で開幕から主に遊撃で起用され132試合に出場。打率・284、16本塁打、52打点で11年ぶりのリーグ優勝に貢献する一方、リーグ最多で新人記録の121三振と粗さが目立った。守備では遊撃での13失策を含むリーグ最多19失策。9月4日の広島戦では左翼守備でサヨナラ落球など苦難の1年目だった。

 《移籍先の吉報待つ》福留は現在、移籍先を探しながら、単独でトレーニングを続けている。現役最年長の43歳で臨んだ今季はコロナ禍での変則日程の影響もあり、43試合で打率・154、1本塁打、12打点と不完全燃焼。阪神での最後の練習を終えた6日には「体は元気なので。自分の気持ちが萎(な)えなければ」と現役続行への思いを口にしていた。古巣・中日などが関心を示している中、吉報を待つ。

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2020年11月23日のニュース