中日・吉見 旧友のNPB復帰を力に…自身を鼓舞する言葉に思えたチェンへのエール

[ 2020年9月28日 09:00 ]

13日のDeNA戦に先発した中日・吉見(撮影・島崎忠彦)
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 旧友のNPB入りを活力に、再び1軍マウンドへ――。中日・吉見一起投手(36)が、ロッテに入団したチェン・ウェイン投手(35)への思いを口にした。

 「彼が日本に戻って来たというのは、エネルギーになることは確か」

 中日黄金期に左右二枚看板としてチームを支えた2人。「日本人と台湾人で変なライバル心もなくて、僕自身は仲良くしていた後輩」とプライベートでも親交が深く、チェンが中日退団後も一緒に自主トレを行ったこともある。

 それだけに、チェンが昨オフ、マーリンズを戦力外となって以降も「ずっと連絡は取っていた」と気にかけ、本人から再び日本でプレーしたいという意志も聞いていた。

 ドラゴンズで一緒に戦うことはできないものの、同じNPBのチームに所属する。「日本でしてる、アメリカでしてる、というのは関係なく気になる人。これから、どうなるのかすごく楽しみ」と心を躍らせる。

 ただ、喜んでばかりはいられない。「僕が上(1軍)で投げないことには話にならない」。今季は投球フォームを大改造し開幕ローテーション入りも、ここまでわずか1勝。2カ月ぶりの1軍登板となった今月13日のDeNA戦は4回1/3を2失点と粘投も白星を逃し、再び2軍落ちとなった。

 今年こそコロナ禍で交流戦はなかったが、来年以降、オープン戦や交流戦でチェンと投げ合うチャンスも出てくる。だが、そのために「僕自身が上でやらなくちゃいけないし、このままだと終わってしまう」と置かれた立場を冷静に見つめている。

 今季中の再昇格を目指し、27日のウエスタン・リーグ阪神戦は5回1安打無失点と好投。若手に負けじとアピールを続けている。

 「彼にかける言葉はないですよ。光も浴びて、底辺も見ているはず。彼自身、思うところはあるだろうしね」

 チェンへの激励メッセージを求めると、こう返ってきた。台湾から来日し、育成も経験しながら、海を渡りメジャーで活躍。そこから戦力外、マイナー契約と苦杯をなめた。

 だが、その言葉は同時に自身を鼓舞する言葉にも思えた。エースとして10、11年にリーグ連覇に貢献。しかし、13年に右肘のトミー・ジョン手術を受けて以降、2桁勝利は一度も無く、昨季はわずか1勝。背水の覚悟で今季に臨んでいる。吉見自身も思うところはあるはずだ。

 「チェンが日本に来たというのが一つの活力、モチベーションになれば」

 現役である以上、“かつて”という言葉は使いたくない。ドラゴンズを支えた2人が再び1軍マウンドで輝く日を待ちわびているファンは少なくない。(記者コラム・徳原 麗奈)

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