広島、長野獲得の裏側 松田オーナー「育成の間に合ってない部分」

[ 2019年1月8日 06:12 ]

巨人・長野(撮影・荻原 浩人)
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 広島は7日、国内フリーエージェント(FA)権を行使して巨人に移籍した丸佳浩外野手(29)の人的補償として長野久義外野手(34)の獲得を発表した。背番号は未定。人的補償史上最高年俸に加えて海外FA権を保有している懸念材料も考慮した上で悲願の35年ぶり日本一へ向けて丸の穴を埋める即戦力外野手の補強を決断した。

 黄金期を途絶えさせないための最善策だった。長野という実績ある即戦力外野手を選んだことについて松田元(はじめ)オーナーは何度も頂点への思いを口にして説明した。

 「4連覇と日本一に向けて育成の間に合っていない部分を現実的に考えて、カードが一枚ほしかった」

 丸流出の戦力減をいかに最小限にとどめるかが焦点だった。11年に首位打者、12年に最多安打を獲得した同じ外野手の長野はうってつけの選手と言えた。ただ、懸念材料もあった。更改済みの今季年俸2億2000万円は日本人選手では菊池涼に次ぐ球団2番目に相当。さらに昨季取得した海外FA権も保有したままだ。06年に日本ハム、08年はロッテからのドラフト指名を断ってまで巨人に入団した愛着も考えれば、再びFAで流出する可能性も否定できない。

 同オーナーは「巨人を希望して入ったから残念かもしれないな…と思った」と胸中を思いやった。それでも鈴木清明球団本部長は「リストの中で一番いい選手を選んだ。あと数年輝いてくれるだろう。FAとかいろんなことを精査した上で、中堅であれだけ実績のある選手がうちにいるわけではない」と指名に踏み切った。

 実績は十分でも、競争を掲げる赤ヘルで定位置は確約されない。12年を最後に打率3割はなく、同本部長は「新井も競争の中で輝きを取り戻した」と昨季引退したベテランを引き合いに復活を待望。14年オフに阪神を自由契約になった新井は古巣移籍をきっかけに16年のリーグMVPにまで返り咲いた。同様に野間、松山、バティスタらとの激しい外野争いが長野を“刺激”する可能性は高い。

 同オーナーは結婚式で同席した際に一度だけ会話した思い出も披露し、「人柄は誠実でいい印象がある。対戦した時は結構痛い目にあわされた」と太鼓判を押した。「若手の芽をつむつもりはないのだけど…」と育成のカープが選択した現実路線。悲願の日本一に向けて執念が見える一手だった。(河合 洋介)

 ≪誠也ワクワク≫ マツダスタジアムで自主練習した鈴木は長野との共闘を心待ちにした。「まじか!と思いました。高校生ぐらいからテレビで見ていたので。逆方向に長打を打てる方。キャンプで打撃練習を見れば、聞きたいことが出てくると思う」。同じく本拠地を訪れた大瀬良も「難しい球もうまくヒットにする嫌らしい打者。一発もある。味方になるので心強い」と歓迎した。

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2019年1月8日のニュース