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やってみよう! 難しそうでじつは簡単にできる!? 前のクルマのドアミラー角度が合っているかを知る方法

[ 2024年4月30日 16:00 ]

■周囲のクルマの動きは一律ではない

クルマで道を走るのはあなただけではない。たいていは周囲にもクルマが走っている。
自分の前を行く先行車、自分の後ろからついてくる後続車、反対車線をこちらに向かってくる対向車のほか、歩行者や自転車、ときにはのら犬、のら猫などもいるわけだ。
さらには、周囲を走るクルマの大多数は良識派が多数を占めてはいるものの、中には周囲状況に目もくれずにかっ飛ばすクルマ、疲れているのか右に左にふらついて怪しげな挙動を示すクルマ・・・様々な走り方のクルマが混在している。

●のろ~いクルマに出くわしたら?

業務上致し方なしとはいえ、このクルマのように、荷室高いっぱいにまで荷を満載しているクルマもある。これではいくらルームミラーが正しく位置合わせしてあっても、後方視界はゼロとなり、ドライバーはドアミラーしか頼りにできなくなる。そのドアミラーさえ合っていなければ・・・?

あまりにも低スピードで、自分以降のクルマの流れを乱している先行車に出くわすことがある。このようなクルマのドライバーを、そのクルマの後ろのガラスを通してシルエットだけ見ると、何かチラチラと下を見て書類か何かに目をやっていたり、スマートフォンを眺めていたりと、運転に集中していない様子がうかがえる場合が少なくない。

そして当人は、自分の後ろにクルマがズラーッと続いていたり、イラつかせている可能性があることも認識していない。
レアケースではあるが、こういったクルマの中にはドアミラーを合わせていないクルマもちらほら・・・運転時、数秒間に1回、ドアミラーを見ているひとなら、ミラーが合っていないことくらい早くに気づくはずなのに、そうでないということはそのひとは後方を認識することに希薄ということだ。

私ならこのようなクルマに出くわした場合、抜かしたいのは山々のところ、せっかちな性分なのに耐え難きを耐え、そのクルマが常に自分の前にいるままになるようにしている。そしてそのクルマが曲がるか、信号待ちではぐれるタイミングを待つ。
要するにそのクルマが自分から離れるように持っていくのだ。

これは後方にも気を向けないひとなら後ろ以外への状況把握も希薄だろうという警戒心があるからで、確率は低いだろうが、抜かした後に追いつかれ、追突されるかも知れないことを考えたら、ハナっから相手が離れるような行動をこちらが取ったほうが得策だ。

いちど、抜かすことができないためにこちらがまわり道をし、別の幹線道路に入ったらまたそのクルマに出くわして「うぉっ!」となったという、ずっと前に見た「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」の探偵コントドラマと同じシーンになったことがあったが、あれにはぶったまげた。

●先行車がこちらを認識しているかを知る目安

これは私が考えた方法だが、走りながらででも信号待ちででも、先行車のドアミラーが合っているかどうかをどのように見分けるか? を解説するので、えらいマニアックなものに感じるかも知れないが、よかったら参考にしてみてほしい。

といっても、何も難しいことはありゃしない。簡単、簡単。

先行車のこの位置にずれて・・・

先行車の右のドアミラー角度の如何を確認したい場合、先行車の右ドアミラーが見える位置に自分がちょいずれればいいのだ(もちろん、路面のセンターラインを超えない範囲で)。そのときに先行車の右ミラーに、そのドライバーの顔が見えれば、そのミラーはきちんと合わせられていると判断できる。

理屈は簡単。

鏡を通して「こっちからそっちが見えているなら、そっちからもこっちが見えているでしょ」という道理だ。これは左のミラーも同様。だいたい、私たちがあまり仲良くしたくない白バイ警官が、ターゲットのクルマから悟られないように追走するさいにはこの原理を利用しているくらいで、そのクルマのミラーが合っていようといなかろうと、自分(白バイ)がガラス=直接視界からもミラーからも、ドライバーの姿が見えない位置につくという。

ヤツらもなかなか知恵を使っているのだ。
実はこの確認法、私が知っていた、昔のクルマの、室内から電動で動かすのではない手動式フェンダーミラーの調整法(フェンダーミラーの前にしゃがみ、ミラーを通じて運転席が見えるように調整する)を応用したものだ。

実験してみよう。

ヘッドレストにかぶせた黄色い不織布を、ドライバーの顔に見立てる

コロナ禍下に於ける在宅勤務時代の悲しさ、すべてひとりで行った撮影で、アシスタントもモデルさんもなし。ここではヘッドレストにひっかけた黄色い不織布をドライバーの顔に見立てることにする。われながら考えることがしょぼい。

このクルマを先行車、カメラ位置を自分のクルマからの視界として、右ドアミラー内に黄色い不織布=ドライバーが見えていれば、そのクルマのミラー位置は合っていると判断できる。

もしドライバーの顔が見えなければ、そのミラーはあさっての方向を向いているわけで、そのクルマのドライバーは、後方視界の確保に無頓着と判断できる。

左も同じ。
ドアミラーを通じて黄色い不織布=ドライバー(赤い○)が見えれば、そのクルマのドライバーは後方視界を得ようとしていると判断できる。

ただし、ここではわかりやすいように運転席のドアガラスを下げて撮影しているが、エアコン完備の時代、窓を閉めて走っているクルマが多いのが実情だ。

その場合は、あなたの右=対向車線側沿いの建物が先行車右ミラーに目で見たままの正像が映っていて(右ドアガラスに映った景色がミラーに映る・・・反転の反転で正像に)、ドライバーの顔まで見えないはずだが、ビルが映っていたらいたで、ミラー角は正しいと判断してもいいと思う。

光線の具合によっては運転者の顔が見えるときもあるが、とにかくこの理屈はあくまでも目安とお考えいただきたい。目安ゆえ、ドライバーの顔の一部でも見えていれば充分。鏡を通して知らないひとと目が合っても気まずいだけだ。

●ドアミラー、ルームミラーはどの角度に?

ところで自分のクルマのミラーこそどう合わせるのが正しいのか?
教習所で習っただろうが、この春に免許を取ったばかりでも忘れかけているひとがいるかも知れないので、参考までにあらためて。

まず、シートを運転ポジションに合わせた後、右のドアミラーなら鏡面の左側、左のドアミラーなら鏡面の右側、それぞれ1/4~1/3に自車の車体が映るように角度調整する。
これは、後続車、左右、左右斜め後ろのクルマと自車のおおよその距離をつかむためだ。

右のドアミラーなら、ミラー幅の左1/4~1/3に自車の一部が見えるように調整する。
左のドアミラーも同様。

ドアミラーに車体がまったく映らない角度にしているひとがいるが、これでは周辺車両との距離がつかめない。左右のミラーに映る隣り車線のクルマが自車を追い抜こうとしたとき、そのクルマがミラーから消えかかった(=完全に消えない)段階で、そのクルマの先っちょがドアガラス内に直接現れる角度であればOKだ。

ルームミラーは、右ハンドル車なら右側1/5~1/4に自分の頭左半分が映るようにする。

室内側のルームミラーも似たようなもので、横長ミラーの右側1/5ほどに自分の頭左半分が入るようにした上で、リヤガラス、そしてリヤガラスの枠をも含めながら車両後方が見えるように角度調整する。頭とガラス枠を入れることで、自分&自車と後方車両の距離を把握するためだ。

その意味で私は、昨今勢力を拡大しつつあるデジタルルームミラーがいいものとは思わないでいる。
後席に乗員がいる、または荷物満載のときに便利なのは認めるが、それ以外のときはOFFにして通常のミラーにしておいた方がいい。

というのも、カメラはリヤガラスに取り付けられているため、つまり自車体のどこも映さずいきなり後方を映し出すため、ドライバーは自車と後方物との距離がつかめない。自車との関係がわかる目安になるものが映っていないからだ。まあ、バックするときデジタルルームミラーだけで行うひとはいないと思うし、いやならOFFにすればいいだけの話だが、状況状況に応じて使い分けなさいますよう。

ところでミラー調整はきちんとミラー枠をつかんで行うべし。ミラー面に触れると手の脂が付着し、いったん気になるとずっと気になるものだ。外国の教習所では、このような細かいところまで含めて指導するそうな。

●ルームミラーの朝と夜

そうそう、もうひとつ。

朝と夜とでは、正確にはミラーを調整し直す必要があるので覚えておこう。
これはクルマから離れている間に鏡が勝手に動いたなどとミステリアスなことが起きたのではなく、昼の活動中に、人間の体のほうが縮んだため、ミラーの見え方が変わってしまうのだ。といっても、ドアミラーはそれほどでもなく、顕著なのはルームミラーのほうである。

私もある本で読んで「なに? 調整のし直しの必要? ほんとかいな?」と、半信半疑どころか一信九疑になったものだが、試しに自分のクルマで注意深く観察してみたら、朝出かけた先でクルマを降りる直前と、夜に乗り込んだ直後とでは、確かにルームミラーに見る視界角度は変わっていた。

ミラーが動いたのではなく、自分の座高が縮んでいたわけだ。縮んだということは、ミラーは少し下に向ける必要があるわけで・・・
確かに「人間の体は重力の影響で昼の間に2センチほど縮んでおり、夜寝ている間に戻っている」とは小学生の時分に本で読んで知っていたことだが、ルームミラーの視界変化がそれを実証してくれた形だ。朝になったら再度上に傾ける・・・個人差はあるだろうが、その辺のことも意識してみるといい。少なくとも身長176cmの私にはあてはまることだった。

最初は面倒に感じるが、いったん習慣化してしまうと何とも思わなくなるぞ!


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