田中恒成 世界最速21戦目で4階級制覇!4団体統一へ「井岡選手へのリベンジ目標」
プロボクシング「Prime Video Presents Live Boxing7」 〇同級1位 田中恒成《判定》王者 クリスチャン・バカセグア● ( 2024年2月24日 東京・両国国技館 )
最大11点差の判定3―0で完勝した田中はリング上で自らマイクを握り宣言した。「スーパーフライ級で4団体制覇する目標を持っています。井岡選手へのリベンジも目標にあります」。IBF同級王者フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)から王座を奪い、ベルト2本を手にして「井岡さんへのリスペクト」を示し、再戦要求する方針を語った。
20年大みそかは当時のWBO王者・井岡一翔(現・志成)に敗れて4階級制覇ならず。プロ初黒星で「自分のこれまで全てを否定してしまうような」最悪の心理状態に陥った。
どん底から仲間の助けを借りて再起した。井岡戦を区切りに父・斉(ひとし)さんがメインのトレーナーを降りた。幼少期からスパルタで仕込まれ、プロでも似た環境が続いていた。“親離れ”すると決め、ジムの古株、村田大輔トレーナーと新コンビを結成。それまで父に「引っ張られ、あおられるように練習で追い込んだ」という環境は大きく変化した。「自分がやる気を出さなければ、その日の練習が無駄になる」。以前はロードワーク嫌いを公言した男に自覚が芽生えた。井岡戦で最重要課題と認識した守備をはじめボクシング技術をもう一度、基礎から学んだ。
この日は相手のボディーをほぼ完璧にブロック、顔へのパンチを空転させた。左ボディーを軸に攻め、8回には左から返しの右ストレート3連発でダウンを奪う。ただ、雌伏した間の成果を「半分ぐらいしか出せなかった」。序盤に相手パンチを見切り、守備でリズムをつかんだものの、相手攻撃の芽を摘む動きが足りないと反省する。「まだまだ、こんなものじゃ誰も納得しないでしょう」と笑った。現級4団体統一、井岡へのリベンジという目標へ向け「今、伸び始めたところです」。今後を前向きに語る姿に充実感があふれていた。
◇田中 恒成(たなか・こうせい)1995年(平7)6月15日生まれ、岐阜県多治見市出身の28歳。小5から競技を始め、中京高で4冠。高3の13年に畑中ジムへ入門し、同11月プロデビュー。15年5月にWBO世界ミニマム級王座を決定戦で獲得。16年にライトフライ級に転級し、同12月にWBOで2階級制覇。18年9月に同フライ級王者の木村翔を破って世界最速タイの12戦目で3階級制覇。20年大みそか、WBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔にTKO負けを喫し、4階級制覇に失敗。身長1メートル64、リーチ1メートル64の右ボクサーファイター。
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