清算法人からの再建目指すJBCに求められるもの
国内プロボクシングを統括する日本ボクシングコミッション(JBC)が3月末に財政難を理由に解散した。翌4月1日、そして2日に東京の後楽園ホールで、3日にはエディオンアリーナ大阪第2競技場など関西でも興行は“普通に”開催され、主催者のジム会長は「とりあえず安心しました」と胸をなで下ろした。9日には村田とゴロフキンの大一番も無事に行われた。清算法人として手続きを進める中でも、既に予定されていた4月中の興行について永田有平理事長が「とどこおりなく行う」と説明したとおりだった。
JBCは2年連続で純資産が300万円未満となり、法令に従い清算法人となった。1年間の精算期間で純資産を300万円以上に回復させ、一般財団法人として復活することを目指すという。6月7日にWBA&IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥(大橋)とWBC世界同級王者ノニト・ドネア(フィリピン)の3団体統一戦が組まれている。4月3日の興行に立会人として来阪した成富毅本部事務局長は「そこ(井上の試合)までには新しい体制でやっていければ」と話した。
JBCの純資産は10年に1億6000万円超だった。収入源である試合の承認料、ボクサーなどのライセンス料は興行や選手の減少に伴い右肩下がり。しかし影響が大きかったのは相次いだ訴訟関連の費用とみられ、コロナ以前の18年度には純資産が620万円まで激減した。既にグロッギーのところをコロナ禍でダメ押しされた。新たな負債である“亀田裁判”による約1億円の賠償金は再建の足かせとなりそうだ。
WBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔(志成)が巻き込まれたドーピング騒動を発端に、ジム会長らで組織する日本プロボクシング協会(JPBA)はJBCのガバナンスを問題視し「体制刷新」を求めていた。一般財団法人としては解散したJBCが再建のため支援を得るには、それも避けられないだろう。
ボクサーやジムオーナーらにライセンスを発行し、レフェリーやジャッジなど試合役員を派遣し、ランキング作成などに関わるコミッションは競技が公平中立に実施されるために欠かせない存在。これから自身の立場がどうなるか、不安を抱えているはずの、ある職員は「とにかく興行を止めないこと。そうしないと本当に“いらない”と言われてしまいますから」と業務遂行を最優先する。あるジム会長は「(日本協会も)もっと寄り添う形でやっていければ」と業界全体の発展につながる再出発を望む。同感だ。(ボクシング担当・原口公博)
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