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八重樫、無念9回TKO負け…36歳、最年長王座獲得ならず「進退考える」

[ 2019年12月24日 05:30 ]

IBF世界フライ級タイトルマッチ   〇王者モルティ・ムザラネ TKO9回2分54秒 同級14位・八重樫東● ( 2019年12月23日    横浜アリーナ )

9R、ムザラネ(右)のパンチを受ける八重樫(撮影・島崎 忠彦)
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 36歳の元世界3階級制覇王者・八重樫東はIBF世界フライ級王者ムザラネに9回2分54秒TKO負け。日本男子最年長での世界王座獲得はならず、進退が問われる状況となった。

 9回。大橋秀行会長はタオルを3度投げ込もうとして、そのたびにセコンドに制止された。打たれっぱなしの八重樫は限界と見ていた。4回から得意とする打ち合いに持ち込んだが、長いワンツーを何度も浴び、ボディーも効かされて失速。レフェリーもほどなく試合を止めた。「(相手の)右ストレートが誤算だった。そっちが気になっていたのか左ボディーをもらった」。淡々と解説し「力不足です」を繰り返した。

 来年2月で37歳。約15年のプロボクサー人生も“終活”の時を迎えている。17年5月、衝撃の初回TKO負けで3度目の世界王座陥落。大橋会長から即日「引退しろ」と通告を受けた。練習を再開したものの、モチベーションが保てず8カ月もジムから足が遠のいた。それでも「あれでボクシングを終わりにしたら後悔する」と世界ランカーとスパーリングを重ね、会長を納得させた。2年7カ月ぶりの世界戦は集大成となるはずだった。

 家に帰れば夫人と3人の子供が待つ“戦うお父ちゃん”。だが、「この試合は自分のためにやっている」と、家族と離れ、11月から短期賃貸マンションで一人暮らし。ボクシングを続けることに喜びを感じ、今もジムNo・1の練習量で仕上げてきたが、4度目の世界には届かなかった。「進退については今は何も言えないが、そういうのも考えなきゃいけない実感もある」。そう話す愛弟子に、大橋会長は「全盛期の八重樫なら間違いなく勝っていたが…」と限界を示唆した。

 ▼浜田剛史氏 八重樫は手数の多い相手に手を出させないようにうまく戦っていた。しかし、堅いガードを崩そうと強く打っていた分、パンチをまともにもらいすぎた。ボディーが効いて7回から流れが変わった。

 ▽ムザラネ―八重樫戦VTR 八重樫は手堅いムザラネを攻略できなかった。立ち上がりは足を使って左右に動いてボディーを狙った。4回からは距離を詰め、右の強打、ボディーを軸に打ち合い勝負を選択。だが8回に連打を受けて失速し、9回に強打を食らって動きが止まった。ムザラネは手数が衰えなかった。鋭いジャブからのワンツー、フックなどで有効打を重ねた。

 ◆八重樫 東(やえがし・あきら)1983年(昭58)2月25日生まれ、岩手県北上市出身の36歳。黒沢尻工高―拓大。05年3月プロデビュー。11年10月にWBA世界ミニマム級王座、13年4月にWBC世界フライ級王座、15年12月にIBF世界ライトフライ級王座を獲得し、日本人男子3人目となる3階級制覇を達成した。身長1メートル60、リーチ1メートル64の右ボクサーファイター。

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