歯切れの悪かった井岡復帰会見、米で再起戦飾り国内で勇姿見られるか
4月の時点で10人いたはずの日本のジムに所属するボクシング世界王者はわずか5カ月の間に陥落、剥奪、返上などで半分の5人に減ってしまった。一方で37年ぶりに米国で王座奪取に成功したWBO世界スーパーフェザー級王者・伊藤雅雪(27=伴流)、日本人で初めて中国での防衛戦に成功したWBO世界フライ級王者・木村翔(29=青木)と、海外でも活躍する選手も出てきた。WBA世界ミドル級王者・村田諒太(32=帝拳)は来月20日(日本時間21日)に米ラスベガスでV2戦を予定。WBA世界バンタム級王者・井上尚弥(25=大橋)は“真の世界一”を目指し、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)に参戦、1回戦こそ国内開催だが、いずれ海外で戦うことになる。
タイトルマッチではないが、元3階級制覇王者・井岡一翔(29=SANKYO)は8日(日本時間9日)に米ロサンゼルスで開催される「SUPERFLY3」に参戦。米興行大手トップランク社と契約した岡田博喜(28=角海老宝石)も14日(同15日)に米デビュー戦を控えている。井岡は4階級制覇を目指すとして7月20日に復帰会見を行ったが、どうにも歯切れの悪い会見だった。
会見では質疑応答の時間もあったが、いわゆる“囲み取材”はなし。「新たな環境で新たな挑戦をしたい」「やるからには海外で、今まで誰もやっていない4階級制覇を」「選ばれた者として結果を出す使命がある」「ボクシングの神様は僕を見捨てなかった」「井岡一翔はまだ終わっていないことを証明したい」…数々の言葉を残したが、準備されていた台詞のようで心に響かず。昨年12月の引退会見で「ボクシングへの未練はない」と明言していただけに、2月に「SUPERFLY2」を現地観戦して翻意したという説明も説得力に欠けた。
結局のところ「もう一度ボクシングがやりたくなった」「かつての夢だった4階級制覇を目指したい」が本音だと思うが、「なぜ米国で?」と質問された時に答えに窮する状況に置かれているのだろう。国内で練習を公開する機会もないまま渡米してしまった。
井岡が最後に試合をしたのは昨年4月23日。実に1年4カ月ぶりとなる復帰戦の相手はWBO世界スーパーフライ級3位のマクウィリアムズ・アローヨ(32=プエルトリコ)。この難敵を下せば、4階級制覇挑戦への道は開ける。ただ、タイトルを獲得しても国内ジムに所属していない現状では凱旋試合の実現は難しい。日本ボクシングコミッション(JBC)へのライセンス申請はジムを通じて行うルールとなっているからだ。海外で活躍することは素晴らしいことだが、再び国内で勇姿が見られる日が来ることを願っている。(大内 辰祐)
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