「リナレスの右が当たれば倒せる」26日リナレスvsクローラ再戦を三浦隆司が占う
フェザー級、スーパーフェザー級、そしてライト級の3階級制覇を成し遂げているホルヘ・リナレス(31=帝拳)が25日(日本時間26日)、英国マンチェスターで前WBAライト級王者、アンソニー・クローラ(30=英国)との再戦に臨む。二人は昨年9月に今回と同じ会場(マンチェスター・アリーナ)で対戦し、リナレスが激闘を制してWBA王座を獲得し、WBCからはダイヤモンド王者に認定された。今回は両王座の初防衛戦となる。
この注目の一戦の予想を中心に、リナレスのジムメートであり敵地での試合も経験している元WBC世界スーパーフェザー級王者の三浦隆司(32=帝拳)にWOWOWが独占インタビューを行った。かつてスパーリングでリナレスと拳を交えたこともある三浦は「今回はリナレスが右のカウンターを決めて倒してしまうと思う」と予想している。
なお、WBA・WBC王者ホリヘ・リナレスvsアンソニー・クローラの因縁のダイレクトリマッチは26日(日)午前4時(予定)より、WOWOWメンバーズオンデマンドで先行ライブ配信。さらに27日(月)午後9時から、WOWOWライブの「エキサイトマッチ〜世界プロボクシング」でも放送。ともに三浦がゲスト解説として出演する。
■敵地で勝てば得るものも大きい
――まずは三浦選手自身のことについてうかがいます。三浦選手は1月28日に米カリフォルニア州インディオでミゲル・ローマン(メキシコ)に12回KO勝ちを収め、WBC世界スーパーフェザー級の挑戦権を手にしましたが、途中までは苦しい展開でしたね。
三浦「ポイントを取られていたことは分かっていたけれど、プレッシャーはかけていたので、そのうちつかまえられると思っていました」
――7回から猛然とスパートをかけましたね。
「セコンドから“勝負に行け”と言われたし、ポイントも取られていたので、がむしゃらに行くしかないと気持ちを切り替えました」
――10回に左のボディーブローで痛烈なダウンを奪いました。
「練習で思い切り打ち込んでいるようなパンチがそのまま当たったので、“当たってしまった”という感じでした(笑い)。決まったと思ったけれど、立ってきたのですごいなとも思いました」
――試合後はファンからサイン攻めでしたね。
「いっぱい集まってくれてサインもたくさん書きました。メキシコ人が多かったと思います。向こうの人はいい試合をすれば応援してくれるので、そういうところは嬉しいですね。“ミウラ”と呼んでくれて、それが心地よかったですね」
――三浦選手はメキシコ、ラスベガス(米国)、そして今回も米国での試合でしたが、敵地での試合は不利なのでは?
「たしかに不利な面はあると思うけれど、そこで良い勝ち方をすれば得るものも大きいので、これからもどんどん海外で戦っていきたいという気持ちが強くなりました」 ――同じイベントに出場したフランシスコ・バルガス(メキシコ)がミゲル・ベルチェルト(同)に負け、三浦選手のターゲットが変わりました。ベルチェルトのことはチェックしましたか。
「パンチが伸びてくる感じで、パンチ力もある好戦的な選手ですね。自分と戦えば良い試合になるんじゃないかと思います。メキシコでもどこでもOKです」
――スーパーフェザー級はWBO王者のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)をはじめ強豪が集まり、激戦階級として注目を集めていますね。
「熱いクラスになってきましたね。そのなかに自分が入っていけるのは嬉しいですね。みんな強い選手なので、戦えることが楽しみです」
――ベルトを取り戻すと、その先には統一戦が待っていそうです。
「みんな強いので、誰とでも戦いたいですが、やっぱり一番の対戦希望相手はロマチェンコですね。勝てば思い残すことはないというほどの最高のボクサー。勝ち続けていって、いずれ戦いたいですね」
■速いうえに上下の打ち分けも巧み
――リナレスvsクローラの再戦について話をうかがいますが、三浦選手はリナレスとスパーリングをしたことはありますか。
「昔、自分が世界チャンピオンになる前に一度だけやったことがあります。ものすごく速くてパンチが見えませんでした。試合だったらダウンしていたかもしれないというほどの右ストレートを食いました。左ジャブは速いし上下の打ち分けも巧みで、とにかく技術レベルは高いですね。どのパンチが飛んでくるか予想できないんです。これまで自分が対戦した相手と比べてもダントツで速いです」
――三浦選手は過去に3度、リナレスと同じ日に試合をしていますが、ご存知でしたか。
「自分のデビュー戦(03年7月)のとき、リナレスも出ていたことは印象に残っています。すでにリナレスは有名だったし、その選手と同じイベントに出られるので嬉しかったという記憶があります。自分の試合が終わってから着替えてリナレスの試合を見ましたが、すごく強かった。すごい選手がいるんだなと思いました。(あとの2戦は04年8月と09年10月)そうやって一緒のリングで戦ってきたりしているので、リナレスのことは自分のことのように思って応援しています」
――昨年9月のリナレスvsクローラの初戦は見ましたか。
「見ました。クローラがガードを固めてプレッシャーをかけていったけれど、リナレスがコンビネーションでポイントを奪っていきました。敵地での試合でしたが、はっきりリナレスが勝ったと思いました」
――勝因は?
「プレッシャーをかけられても冷静にコンビネーションで応戦していたし、まずメンタル面が強くなっていると思いました。それにフィジカルも強くなっていると感じました」
――リナレスはベネズエラ出身ですが、17歳で日本でデビュー。その後はメキシコやパナマ、アルゼンチン、米国、英国と数多くの国で戦ってきました。本当にたくましいと思います。いろんな国で戦って、いまは統一チャンピオン。尊敬するチャンピオンのひとりです」
――初戦に続いてリナレスは今回も相手の地元に乗り込んで戦うわけですが、注意する点があるとしたらどんなところでしょうか。
「際どい判定になると相手側の方が有利になると思うので、たとえばダウンを取って誰が見ても勝ちだという大差をつけるか、KOで終わらせる必要があると思います」 ――今回の再戦、三浦選手はどんな展開を予想しますか。
「前回と同じようにクローラがガードを固めてプレッシャーをかけてくると思いますが、今回はリナレスがカウンターかコンビネーションを決めて倒してしまうんじゃないかと思います。リナレスの右が決まれば立ち上がれないでしょう。それだけのパンチを持っています。今回はそれが当たるんじゃないかと思うし、期待もしています」
――リナレス選手にメッセージを。
「必ず勝って防衛してください。応援しています。ボンバー!」