内山 最強V10!最年長防衛&具志堅に並ぶ9KO!!
WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチ12回戦 ○スーパー王者・内山高志 TKO2回1分15秒 ●同級7位・ジョムトーン・チューワッタナ
(5月6日 大田区総合体育館)
具志堅に並んだ!WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者の内山高志(35=ワタナベ)は6日、同級7位のジョムトーン・チューワッタナ(25=タイ)を2回TKOで下した。世界戦のKOは9度目で具志堅用高に並ぶ日本人最多。35歳6カ月での防衛は日本人最年長となり、10連続防衛も日本歴代2位に並んだ。記録ずくめの圧巻KO劇で、WBC同級王者・三浦隆司(30=帝拳)との統一戦など熱望するビッグマッチ実現に前進した。
満員の館内に戦慄(せんりつ)が走った。2回、左ジャブで相手が引いたところに、凶器と化した内山の右ストレートがジョムトーンの右頬を襲った。「硬かったですね。骨を殴った感じでした。立てないと思いましたよ」。右目の下の骨を砕かれ、全身の力を失ったジョムトーンはキャンバスに崩れ落ちると、大の字になって微動だにしない。ムエタイ300戦以上の経験を誇るタフな男が失神。恐ろしいまでのTKO劇だった。
「こんなに早く決着がつくとは思わなかった。ちょっとビックリです。気持ちよかったですね」
節目の10度目の防衛戦を世界戦自己最速の2回で決着させた。初回からいきなり強烈なワンツーを相手の顔面に打ち込むなどエンジン全開だったが、実は不安を抱えていた。1カ月前、練習の追い込み過ぎで「ぎっくり腰」になった。コルセットで固定し、2週間の絶対安静。試合直前のアクシデントに「ヤバイ」と焦った。だが、11年1月の三浦隆司戦の前にも右拳を痛め、左手一本で戦って乗り切った経験がある。回復を待って練習再開し、スーパー王者昇格後初の防衛戦をクリア。どんな苦境にも自分を見失わないのはさすがベテランだった。
脱サラしてプロ転向し、30歳で世界王者になってから5年。当時から励むフィジカルトレーニングで胸囲は世界初挑戦時より10センチ大きい102センチとパワーアップした。想定しているのは目の前の相手ではない。「海外で対等に戦うにはどうするか」。最近では5階級制覇王者のドネア(フィリピン)を倒した1階級下のWBA世界フェザー級王者のウォータース(ジャマイカ)との対戦をイメージしている。2日のメイウェザー―パッキャオ戦もテレビで観戦。「盛り上がりが違う。雲の上の感じがするけれど、僕もお客さんを熱狂させる試合がしたい」とさらにビッグマッチへの思いを強めた。
無敗の難敵をクリアし、防衛回数を2桁に乗せたことで、渡辺均会長は「内山の強さを証明できた。もう誰と戦ってもへっちゃら。内山の希望通りにしたい」とビッグマッチの後押しを約束した。他団体王者との統一戦か、ラスベガスなどの海外進出。KOダイナマイトが大舞台で爆発する日は近そうだ。
◆内山 高志(うちやま・たかし)1979年(昭54)11月10日、埼玉県春日部市生まれの35歳。埼玉・花咲徳栄高でボクシングを始め、拓大4年から全日本選手権ライト級3連覇。05年7月プロデビュー。07年9月に東洋太平洋スーパーフェザー級王座獲得。10年1月にWBA世界同級王座獲得。身長1メートル72、リーチ1メートル82。右ボクサーファイター。
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