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八重樫警戒 挑戦者サレタがダウン想定の珍練習、闘争心に脅威

[ 2014年4月2日 05:30 ]

公開練習中にリングの上でぐるぐる回り続けるサレタ

WBC世界フライ級タイトルマッチ 王者・八重樫東(大橋)VS同級8位・オディロン・サレタ(メキシコ) 

(4月6日 大田区総合体育館)
 王者・八重樫東に挑戦するオディロン・サレタ(28=メキシコ)が都内の帝拳ジムで練習を公開した。世界初挑戦の右ファイターはダウンを喫した場面を想定した珍練習を披露。倒されても、はい上がって倒しにいくタフなハートを見せつけられた八重樫陣営は警戒を強めた。

 シャドー、ミット打ちまではごく普通のトレーニングだったが、その後に奇妙な練習がスタートした。リング上のサレタは両手を広げて、その場でぐるぐると回りだした。30秒間で約20回転。回転を止めると目が回って、ふらつきそうになる。そこから懸命に踏ん張り、トレーナーの構えるミットにパンチを繰り出した。

 運動会の障害物競走などで行われる“ぐるぐるバット”のような練習は、もちろん遊びではない。サレタ陣営は「ダウンしたり、効いたパンチをもらった場面を想定して、準備している」と説明。あえて平衡感覚を失った状態をつくり出していたのだ。普通の選手なら真っすぐ立っているのも困難だが、計6回、一度も大きくよろめくことはなく、すぐに通常のフットワークに戻っていた。回復力の早さは驚異的だった。

 練習を視察した八重樫陣営の大橋秀行会長は「あれがフィギュアスケートなら、間違いなく金メダルですね」と皮肉交じりに語ったが、一度は倒されることを前提にしての真面目な練習姿勢に感心しきり。「ここまで中身の濃い公開練習は初めて見た。気を引き締めないといけない」と警戒を強めた。松本好二トレーナーも「アマはこの練習をよくやるけれど、ここまで回数は多くない。死に物狂いで来るんでしょう」と語った。ダウン覚悟で振り回す強打は八重樫にとって脅威となりそうだ。

 世界初挑戦のサレタは「今回はビッグチャンスだと思う」と気合十分。八重樫は次戦で38戦38勝32KOの元世界2階級制覇王者のローマン・ゴンサレス(ニカラグア)との対戦を表明しているが、その前に倒すべき相手も思いのほか難敵のようだ。

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2014年4月2日のニュース