大毅判定勝ち!来場の坂田に打撃戦要求
WBA世界フライ級王者・亀田大毅(21=亀田)が、ノンタイトル戦のプロボクシング53・キロ契約戦でロセンド・ベガ(32=メキシコ)と対戦し、フルマークの判定で下した。KOは逃したが3回にダウンを奪った右ストレートに進化を見せ、9月25日に東京ビッグサイトで行われることが有力な元同級王者・坂田健史(30=協栄)との初防衛戦に弾みをつけた。井岡一翔(21)は世界前哨戦をTKOで、亀田興毅(23)は再起戦をKOで飾った。
全ジャッジ100点のフルマークで圧勝したリング上で、大毅は坂田に呼びかけるようにマイクを握った。「打ち合いでしょ。面白い試合になるでしょ」。格下相手にKOを逃したフラストレーションが、坂田への打撃戦要求となって表れた。
序盤は魅せた。得意の強い左フック、左ボディーはいつも通り。進化は課題と言われ続けた右だった。出ハナに合わせる右ストレート、左フックからの右ストレートがきれいに決まる。3回にその右でダウンを奪い「スパーリングでやったことができた」と話した。
ただ「相手が出てこなかったから」という中盤以降は、空回りした。下からこすり上げるように打つフリッカージャブは有効だったが、続くパンチがない。単発、大振りが目立ち「試したいことがあったけど、ボクシングにならんかった」。KO勝利後の恒例となっている歌は、判定勝ちだったため披露しなかった。
坂田から王座を奪ったデンカオセーン(タイ)を2月に判定で破り、念願の世界タイトルを手にした。WBAは試合前に勝者と坂田の対戦を義務づけていたが、ファイトマネーの未払い問題で係争中の協栄ジムとの交渉は難航し、入札にもつれ込んだ。そして、坂田戦まで7カ月以上のブランクが空くため、急きょ決まったノンタイトル戦は収穫も課題も残した。
坂田戦に向けて「向こうは死に物狂いでくるから、オレのボクシングができる」と話したが「世界を4度防衛してキャリアもオレの倍。全部(の力を)出さんとパンチは当たらん」と敬意は忘れなかった。「きょうの収穫は10回戦ったことだけ。次で(世界王者として)真の力を出せる」。3年前、1年間の出場停止を食らった問題児が、世界王者の肩書を得て心も進化したようだった。
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