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世界戦初KO!新井田 進化のV7

[ 2008年3月2日 06:00 ]

バレラにKO勝ちし7度目の防衛を果たした新井田は歓喜のバック宙

 世界戦初KOで7連続防衛を飾った。WBA世界ミニマム級タイトルマッチが1日、東京・後楽園ホールで行われ、王者・新井田豊(29=横浜光)が、同級13位のホセ・ルイス・バレラ(29=ベネズエラ)を6回2分16秒、左ボディーで沈めた。世界戦では自身初のKO勝利で国内単独4位の7連続防衛を達成。日本人世界王者のKO防衛は、WBC世界バンタム級王者・長谷川穂積(27=真正)が06年3月にウィラポン(タイ)を9回TKOで下して以来、2年ぶりだった。

 待ちに待った瞬間の喜びを、新井田はバック宙で表現した。10度目の世界戦で初のKO勝利で飾った7連続防衛。「初めてのKO勝ちでうれしい。(バック宙は)7度目の防衛だからファンサービスです」。普段はクールな王者が会心の笑顔で喜んだ。

 7度の防衛の中でも格別の勝利となった。「KO勝ちがないのは意識していた」。高いボクシングセンスとテクニックで3年8カ月にわたって王座に君臨してきたが、名王者との称号と無縁だったのは、KO勝利のなさが要因だった。王座に就いてから、パワーアップすることでKOを求めてきた。しかし、新井田に初のKOをもたらしたのは「原点回帰」だった。

 今回のテーマはスピード重視。持ち前のセンスに、速さを加える練習を積んで防衛戦に備えてきた。及川秀文トレーナーは「今まではパワーに偏りがちだった。本来の持ち味のスピードを鍛えるのは原点回帰」と説明する。パワー偏重を改め、スピードとタイミングでKOを狙うスタイルに取り組んだ。

 成果は3回に世界戦で初めて奪ったダウンに表れた。きれいに放った左フックがカウンター気味にヒット。新たに習得した右アッパーも交えてバレラを攻め続けた。6回には連打で相手をロープに追いつめ、最後は左ボディーをレバーにめり込ませた。バレラがマウスピースを吐き出し、担架でリングを降りるほど強烈な一撃だった。

 「自分のスタイルは進化している」と話す、衰えることのない意欲。10月には30歳を迎えるが「年齢を重ねるにつれてハートも強くなってきた」と言う。その上に、今回のKO勝利で大きな自信を積み重ね、次戦での対戦が有力な同級1位の指名挑戦者、ゴンサレス(20=ニカラグア)戦に目を向けた。「強い挑戦者だけど、オレにもプライドがある」。V7で新境地を切り開いた新井田に、防衛記録を止めるつもりはない。

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2008年3月2日のニュース