NPB「ピッチクロック」どうする? 槙原寛己氏、賛成だけど「間のスポーツ」

[ 2026年3月24日 05:30 ]

槙原寛己氏

 侍戦士の思いは届くのか――。侍ジャパンはWBC準々決勝でベネズエラに敗れ、6大会目で最低の8強止まり。大会後は代表選手から、大リーグで導入済みの「ピッチクロック」対策強化への要望が相次いだ。旬な話題に鋭く斬り込む企画「マイ・オピニオン」で、本紙評論家の槙原寛己氏(62)が、さまざまな角度からNPBでの「ピッチクロック」導入について分析した。

 もちろん、国際大会で結果を残すためには導入は不可欠だし、私も基本は賛成だ。ただ、野球は「間」のスポーツ。バッテリーと打者の駆け引きという妙味もある。走者なしで15秒、ありで18秒のピッチクロックに従ってポンポンと投げていたら、テンポこそいいが一方で味気ない試合に終わってしまわないだろうか。

 例えば試合終盤の大ピンチで強打者を迎えた場面で、バッテリーのサインが決まらない。捕手がひと呼吸入れようと立ち上がれば、投手はロジンに一度手をやるだろうか。満員の観客は息を詰めて見守り、打者の集中力は増す――。そんな緊迫のシーンこそが野球の持つ「間」であり、醍醐味(だいごみ)だと思う。

 また、バッテリー間には「わざと首を振れ」というサインもある。打者を惑わせるための駆け引き。こういった人間同士の対戦だからこそ生まれる要素が、ピッチコムとピッチクロックを導入すれば少なくなってしまうのは間違いない。

 もちろん、採用することの利点は多い。国際大会に準じるのは当然として、バッテリーだけでなく守備面でも恩恵がある。WBCで源田らに聞いたが、ピッチコムは守備陣も装着するが特に二遊間が守りやすくなるという。事前になんの球種を投げるかが分かるため、打球のコースを予想しやすくなる。守備で大事な一歩目が「確実に違ってくる」と言っていた。これまでは投手ごとに違う捕手のサインを二遊間の野手は覚えていたが、そんなストレスもなくなる。

 時短と効率の良さを優先すれば、きっと失うものがあると思う。ただ、今回のWBCを見ても大リーグは力と力の勝負が主流。野球独特の間というより「速い球」「強いスイング」のぶつかり合いとなっている。それが世界の野球の流れなら、仮に淡泊な試合になる可能性があるとしても、その舞台で勝つためには導入は不可避だろう。

 ▽ピッチクロック MLBが23年に導入した投球間の時間制限。国際大会はMLBのルールに沿って開催されるため、WBCでは今回の26年大会から導入された。採用していないのは、主要国では日本だけ。NPBも23年7月から導入を検討してきたが、球場飲食やグッズ販売の収益に頼る面もあり、球場に観客が長く滞在することを望む球団が固辞。打者と投手の「間」を大切にする文化があるという建前で、導入は見送られてきた。

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