【内田雅也の追球】「鬼」にならった奇策か

[ 2025年10月27日 08:00 ]

SMBC日本シリーズ2025 第2戦   阪神1―10ソフトバンク ( 2025年10月26日    みずほペイペイD )

<ソ・神>ベンチの藤川監督(撮影・岡田 丈靖)
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 2回ともたず7失点KOされた阪神先発ジョン・デュプランティエは三振の取れる投手だ。規定投球回数不足ながらシーズン奪三振率(9回平均の奪三振数)が11・22でセ・リーグ最高だった。当然ながら2ストライク後の投球は圧巻で、被打率・131(198打数26安打)と抑え込んでいた。主な決め球は150キロ台の速球と縦割れのナックルカーブである。

 その決め球をはじき返された。浴びた6本の長短打のうち半分の3本が2ストライク後だった。

 1回裏先頭の柳田悠岐に1ボール―2ストライクから低めナックルカーブを拾われた。2死後、一、二塁で栗原陵矢には1―2から再びナックルカーブを右前打され同点。2回裏は2死二塁からあと1死を奪えず大量失点となった。周東佑京に0―2から胸元速球を三塁打されたのだ。1回裏にも内角速球を引っ張られ右前打されていた。

 デュプランティエは8月9日を最後に「下肢の張り」で戦列を離れていた。2カ月半の空白があっての実戦が日本シリーズの大舞台。体調は回復していても、本来の球威は戻っていなかった。

 第1戦の村上頌樹に続き、両輪の才木浩人の第2戦起用が正攻法だろう。デュプランティエの第2戦起用は――監督・藤川球児は否定するだろうが――奇策と言える。

 いや、本拠地・甲子園に戻っての第3戦を「才木で取る」と踏んでいるのだろうか。相手先発予想の難敵リバン・モイネロに真っ向勝負を挑む姿勢である。

 「第2戦重視」という戦法がある。第1戦は事前データの確認作業で第2戦からが本番というわけだ。本家は川上哲治だと野村克也著書が『短期決戦の勝ち方』(祥伝社新書)に記している。V9含む11度の日本シリーズですべて日本一となった川上を<短期決戦の鬼>と呼んでいる。

 川上巨人は第1戦7勝4敗、第2戦8勝3敗と強いが<驚くべきは第3戦の数字だ。10勝1敗の勝率・909。おそらく、川上さんの本心は第3戦を取ることにあったのではないか>。

 藤川には「先人に学ぶ」姿勢があるとみている。実は「鬼」の本心を知り、第3戦以降を見通しているのかもしれない。

 惨敗の試合中のベンチで笑みがこぼれ、敗戦後は「甲子園で3つ戦う。それだけです」と淡々としていた。=敬称略=(編集委員)

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