44歳、オジサン世代の“希望の星”ヤクルト・石川の今季初勝利を願う 偉業達成へ三度目の正直

[ 2024年5月18日 08:00 ]

甲子園の室内練習場ブルペンで投球練習を行ったヤクルト・石川
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 球界最年長のヤクルト・石川雅規投手(44)が19日の阪神戦(甲子園)でプロ野球史上初の偉業達成を狙う。勝てば23年連続での白星となり、工藤公康、山本昌、三浦大輔に並ぶプロ野球タイ記録。入団1年目から23年連続勝利となれば石川が史上初の快挙となる。

 今季はここまで先発した2試合ともに好投しているものの、白星に恵まれていない。前回6日のDeNA戦(横浜)は、まさかの試合展開でつかみかけた白星がスルリと逃げた。5回まで3安打2失点に抑え、1点リードで勝ち投手の権利を得て降板。打線は7回と8回に1点ずつ加えて5―2となった。その場にいたヤクルト担当の記者たちは、石川の勝ちを想定した記事を書き進めていた。

 ところが、だ。8回裏のDeNAの攻撃で、この日が国内復帰戦だった筒香が4番手のエスパーダから逆転3ランを放つなど一挙4得点で試合をひっくり返した。その瞬間、横浜スタジムが揺れた。バックネット裏の最上部にある記者席も地震のような揺れに襲われ、衝撃的な展開に普段は静かな記者席は「うわ~!」、「えー!」、「マジか!」などの声が飛び交った。石川は球界屈指の人格者で同僚はもちろん、報道陣からの人望も厚い。痛恨の逆転負けによる白星消滅に、番記者は自分のことのように落胆していた。

 三度目の正直だ。勝負のマウンドに備えて16日に大阪入りした石川は、甲子園での練習後に取材に応じ「チームが勝てばいいとはいえ、自分自身の勝利も本当にほしいので。そこにこだわってやっていきたい」と勝利への執念を口にした。

 ここで石川がプロ初勝利を挙げた2002年の主な出来事を振り返る。小泉純一郎首相が日本の首相として初めて北朝鮮を訪問し日朝首脳会談が実現。多摩川に現れたアザラシの「タマちゃん」が流行語大賞を受賞し、サッカーW杯日韓大会で日本代表の16強入りに日本中が沸いた。夏の甲子園では明徳義塾(高知)が初優勝し、主将の森岡良介(現ヤクルト1軍内野守備走塁コーチ)がチームをけん引。プロ野球は就任1年目の原辰徳監督が率いる巨人がセ・リーグを制覇し、日本シリーズではパ覇者の西武(伊原春樹監督)に4連勝で日本一に輝いた。懐かしい出来事ばかりだが、今の若者にはきっとピンとこないことばかりだろう。つまり、それだけ長きに渡り厳しいプロの世界で戦い、結果を残してきた。

 「やっぱり年々、1試合、1勝の重みが増していますよ。まあ、おじさんだからね」

 記者は石川と同じ44歳。NPBでは唯一となってしまった同学年の“希望の星”には、世代の代表としていぶし銀の光を放ち続けてほしいと願う。大きな大きな今季1勝目をつかみとることがきるかどうか。甲子園の記者席から熱視線を注ぎたい。(記者コラム・重光 晋太郎)

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