藤井正弘の血統トピック

【オークス】牝馬優位スワーヴリチャード産駒真価発揮

[ 2024年5月15日 05:30 ]

 ディープインパクト産駒不在のオークスには前2年の優勝馬の父ドゥラメンテをはじめ、4頭の歴代オークスサイヤーが産駒を出走させる。父馬実績という観点からも混戦模様だが、種牡馬単位の切り口では最多3頭出しのキズナ以上に注目しておきたいのがスワーヴリチャードの2頭出しだ。

 昨年の夏季集中連載以来、スワーヴリチャードの特異な種牡馬能力には多角的にフォーカスしてきたが、その間に浮かび上がってきたのが牝馬優位の属性。京王杯2歳Sのコラソンビート、ホープフルSのレガレイラ、そしてオークスにエントリーのあるチューリップ賞のスウィープフィート、フローラSのアドマイヤベルと、4頭のグレード勝ち産駒はいずれも牝馬である。オークスの前に世代限定重賞勝ち牝馬を4頭出しているというのも凄いことで、先例として挙げられるのは牝馬の大豊作世代とされた16年産のディープインパクト(グランアレグリア、ダノンファンタジー、シェーングランツ、コントラチェック)、同じく17年産(リアアメリア、サンクテュエール、スマイルカナ、ミヤマザクラ)くらいのものだが、どちらの世代もディープインパクトの血統登録牝馬は総勢75頭だった。対してスワーヴリチャードの現3歳牝馬血統登録数は47頭。統計データの単純比較からもディープインパクトの最盛期をしのぐ驚異的な“重賞到達率”が見て取れるのである。

 先週の当欄でも触れた通り、アドマイヤベルは兄妹あるいは姉妹そろってG1馬になるケースが多いヴィクトリアマイル優勝馬アドマイヤリードの半妹。スウィープフィートには桜花賞5着からオークス2着と巻き返した祖母スイープトウショウのイメージが重なる。最強のフィリーサイヤー、真価発揮の舞台となる可能性大だ。 (サラブレッド血統センター)

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