水原一平被告 罪状認否のポイントと今後についてQ&A解説 なぜ無罪主張?無言の理由は?処遇は?

[ 2024年5月16日 01:30 ]

罪状認否を終え、うつろな表情で連邦裁判所を去る水原一平被告(中央、AP)
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 ドジャースの大谷翔平投手(29)の銀行口座から金を盗んで不正送金したとして銀行詐欺などの罪に問われた元通訳、水原一平被告(39)が14日(日本時間15日)、罪状認否のためロサンゼルス連邦地裁に出廷した。カリフォルニア州の弁護士資格を持つ国際弁護士・村尾卓哉氏が罪状認否のポイントと今後について解説。

 Q なぜ無罪主張?

 A 14日の罪状認否は治安判事の下で実施。治安判事には法定刑の上限が禁錮1年以上の「重罪」について有罪答弁を取り扱う権限がないため、この日は形式的に無罪を主張した。治安判事は禁錮1年までの軽罪に関しては審理を行う権限を持つ。それ以上の重罪に関して、ここで有罪答弁をすると、地裁判事の承認も必要になるから合理的に手続きを進めるためです。

 Q 無言の理由は?

 A 弁護士の指示で余計な混乱を生まないためだろう。判決を待つ身で、いま何かを言ってもいいことはない。

 Q 今後の流れは?

 A 2~3週間後にある次回公判で有罪答弁する。司法取引しているので、陪審員による裁判には進まず、求刑などの手続きはない。それを受け、保護観察官らが調査に入る。被告の財産状況や情状などを調べ、適切な量刑や罰金などの金額を決め、調査報告書が裁判所に提出され、報告書を受け取った判事が量刑を決める。一応、有罪答弁から95日以内に判決という決まりはあるが、今回の罪状認否が延びたように、保護観察官の調査状況で延びることもある。判決は夏を過ぎるのではないか。

 Q 被告の処遇は?

 A 判決が出たら収監となる。どこの刑務所に入るか選ぶことはできない。服役後に強制送還されるだろう。前科がついたことで在留資格は取り消しになるだろう。

 Q 量刑は何年に?

 A 米国にはどれだけの刑を科すかの目安となる「量刑ガイドライン」がある。犯罪歴や量刑レベルの段階が数値化されている。前回公表された合意書では、水原被告は「レベル25以下の禁錮刑を科す場合、控訴しない」としており、一方で検察側は「レベル25以上の禁錮刑を科す場合、控訴しない」としている。よってレベル25が双方の最低ラインになっている。レベル25は、初犯であれば禁錮57~71カ月、約5~6年となる。水原被告側も6年の禁錮は覚悟しているということ。6年以上の判決が出る可能性もあり、水原被告側がそれで同意する可能性もある。

 Q 刑務所生活は?

 A 米国には「プリズンコンサルタント」という仕事がある。刑務所での護身術やしきたりを教えてくれる。コンサルタントを雇って、指南してもらうことができる。

 Q 返済の義務は?

 A 自己破産をしても犯罪収益は支払い義務がある。逃れるすべはない。一方で、お金がないのであれば強制的に回収することも難しい。

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