蝉川泰果 最年少「22歳326日V」&「日本タイトル2冠」 男泣き8カ月ぶり4勝目 

[ 2023年12月4日 04:35 ]

男子ゴルフツアー 日本シリーズJT杯最終日 ( 2023年12月3日    東京よみうりCC=7023ヤード、パー70 )

優勝トロフィーを手に笑顔を見せる蝉川泰果(撮影・西尾 大助)
Photo By スポニチ

 ライバル対決を制し、蝉川泰果(22=フリー)が最年少での日本タイトル2冠と大会制覇を達成した。首位から出て4バーディー、2ボギーの68で回り、通算15アンダー。学生時代からしのぎを削った中島啓太(23=フリー)と金谷拓実(25=Yogibo)を1打差の2位に追いやった。アマ時代にツアーV経験のある3人は、今季賞金ランクトップ3の実力を発揮し上位独占。男子ゴルフの新時代到来を予感させた。

 思わず目頭を押さえた。大観衆に囲まれた最終18番のウイニングパットを沈めると笑みを浮かべたが、すぐに瞳がにじんだ。「うれしいの一言。また優勝できるのは幸せ」。実に8カ月ぶりの4勝目。悩み、苦しんだ日々に別れを告げる涙だった。

 17番のバーディーで1打差をつけ首位に立ったものの、18番パー3は傾斜のきついグリーンが待つ難関。第1打は右手前のラフに外した。前日にダブルボギーを叩いていたが、「パーかダブルボギーか、イチかバチかくらいで振った」という覚悟の一打をピンに寄せて逃げ切った。22歳326日での大会制覇は羽川豊を抜く史上最年少、日本オープンとの日本タイトル2冠も史上最年少という快挙も達成した。

 昨季、アマで2勝。プロ実質1年目の今季も4月に早々と勝った。しかし、プロの苦しみを味わったのはそれからだった。初めて経験した暑い6、7月の連戦。体力的にきつく、結果の出ない9、10月は「メンタルもズタボロ」。一方で同世代の中島や平田が優勝し、「自分の存在が小さくなっていく感じ」と悔しい時を過ごした。

 復活へ導いてくれたのもライバルの存在だった。中島については「1年目で賞金王は半端ない。安定感があるし爆発力もある。自分も追いつきたい」と原動力に変えた。また中島に加え、同じく賞金王を争った金谷とも同じ組で回る機会があったが、「2人を見てこうすれば優勝できるという経験を実行できた」と実戦から多くを吸収し、攻略に生かした。

 男子ゴルフで3人が競ったといえば、青木、尾崎将、中嶋のAON。蝉川、中島、金谷の若き3人も今後、幾度となく名勝負が期待される。来季は蝉川は日本を主戦場としつつ、海外にも出て行く。新世代の旗頭の一人として「もっと進化した姿を見せたい」と飛躍を誓った。

 ▼蝉川の父・佳明さん 秋ごろは朝の練習でパターを3本くらい持って悩んでいた。(今季1勝目の)4月からほんま長かったから良かった。本人もこれで自信がつくのでは。(コースで優勝を見守って)

▽AON 青木功(81)、尾崎将司(76)、中嶋常幸(69)の頭文字を取った3強の呼称。1970年代から2000年代にかけて男子ゴルフの人気をけん引した。ツアー通算勝利数はジャンボが94勝で1位、青木が51勝で2位、中嶋が48勝で3位。3人は85年から92年まで国内最高峰の日本オープンで優勝を分け合うなど数多くの名勝負を演じた。

続きを表示

この記事のフォト

「羽生結弦」特集記事

「テニス」特集記事

2023年12月4日のニュース