二所ノ関親方が秋場所占う 琴ノ若に注目 “主役は俺だ”という気構え示して地味な印象打破だ

[ 2023年9月10日 05:00 ]

関脇・琴ノ若
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 大相撲秋場所は10日に東京・両国国技館で初日を迎える。名古屋場所で初優勝した豊昇龍(24=立浪部屋)が大関に昇進し「1横綱3大関」となったが、横綱・照ノ富士(31=伊勢ケ浜部屋)が初日から不在。新興勢力の躍進も目立つなど優勝争いは混戦模様を呈している。本紙評論家の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)は大関獲りの足固めを目指す新関脇・琴ノ若(25=佐渡ケ嶽部屋)に注目した。

 最近は場所ごとに優勝力士が異なる混戦模様ですが、今場所もその傾向は変わりません。休場となった照ノ富士は稽古総見の体つきを見てもいい時の状態には遠かった。今度は腰に不安が出ていますが、しっかり治して強い姿を見せてほしいものです。

 誰が賜杯を手にしてもおかしくない状況で、期待を込めて新関脇の琴ノ若に注目しています。今年初場所で三役に昇進してから4場所連続で勝ち越し。この2年負け越しなしと安定しています。名古屋場所で11勝を挙げ一気に次期大関候補に加わってきました。名古屋ではずっと勝てなかった豊昇龍を撃破。十分賜杯を手に収めてもおかしくない力はつけています。その一方であっさり負けることもある。安易に勝ちに行って墓穴を掘り、土俵際の詰めの甘さも時にのぞかせます。少し地味な印象もあるので、もう少し自分をアピールしてもいいのでは。主役は俺だ、自分が引っ張っていくんだという気構えを示すことも必要です。常に厳しい立ち合いを心がけ、一日一番に集中できれば、セールスポイントでもある腰の重さ、体の柔らかさを存分に発揮できるでしょう。

 新入幕だった名古屋場所で活躍した豪ノ山、湘南乃海も楽しみです。豪ノ山はここにきて相撲内容も良くなってきました。立ち合いからの一気の出足が上位戦でどこまで通用するか。霧島や豊昇龍は取りにくいタイプで、立ち合いでミスすれば一気に持って行かれる危険はあります。豪ノ山も上位を食えば気分的にも乗っていけるはずで、秋場所の台風の目になれる存在です。

 湘南乃海も恵まれた体格を生かした取り口が魅力です。まだまだ伸びしろもありますし、四つ相撲や突き押しで「これだ」という感触をつかんだ時、大きく飛躍する可能性を秘めています。豊昇龍の昇進で3人になった大関ですが、霧島、貴景勝はカド番。霧島は場所前の稽古が精力的だったようで、15日間戦える体づくりができていれば期待は持てそうです。(元横綱・稀勢の里)

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