【世界陸上】男子400の歴史が動いた!佐藤拳、高野進超え!32年ぶり トラック種目日本最古の記録更新

[ 2023年8月21日 04:44 ]

陸上 世界選手権第2日 ( 2023年8月20日    ハンガリー・ブダペスト )

男子400メートル予選で44秒77の日本新記録をマークした佐藤拳太郎(右)(AP)
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 男子400メートル予選が行われ、日本代表主将の佐藤拳太郎(28=富士通)が予選1組で44秒77の日本新記録で2位に入り、22日の準決勝に駒を進めた。91年に高野進がマークしたトラックの五輪種目で最古の日本記録44秒78を32年ぶりに0秒01更新。91年東京大会の高野以来となる決勝進出を視界に捉えた。出場3人全員の準決勝進出も初の快挙。26日の予選から始まる男子1600メートルリレーでの悲願のメダルへ大きく弾みをつけた。

 ついに、歴史の扉が開いた。最後まで力強く加速した佐藤拳が、ゴールになだれ込む。着順で準決勝進出を決め、記録は44秒77の表示が出た。「決勝進出、マイルではメダルという目標がある。ここで手放しで喜んで、気持ちを切らすわけにはいかない」。冷静な振る舞いに徹したが、思わず左拳を握った。

 東京五輪金メダルのガーディナー(バハマ)を追いかける展開だった。序盤の100メートルは落ち着いて入り、後半勝負。ラストの直線で1つ順位を上げ2位だった。「まだまだ改善点がある。ここがベストではない」。日本勢にそびえ立っていた高野進という壁を32年ぶりに越えた。姿を見かけるたびに助言を求めたレジェンドの大記録の先にも、まだ高みが見えた。

 調子の上がらなかった昨年は、世界4位と大躍進を遂げた1600メートルリレーのメンバーから漏れた。「代表にならないといけない」。今大会の選考会を兼ねた6月の日本選手権決勝前には「マイル侍」たちがバトンをつなぐ昨年の同リレー決勝の動画を見てモチベーションを高めた。7月のアジア選手権では日本歴代2位の45秒00をマーク。「自分はマイルチームを引っ張っていかなきゃいけない存在」。日本代表の主将としても、この舞台に懸ける熱い思いが予選からあふれ出た。

 4度目の出場ながら個人種目での初挑戦。22日の準決勝では、91年東京大会の高野以来日本勢2人目となる決勝進出が懸かる。「44秒50くらいを出せると思っている。着順での通過を狙っていく」。日本短距離界が、新たな歴史の潮目を迎えている。

 ◇佐藤 拳太郎(さとう・けんたろう)1994年(平6)11月16日生まれ、埼玉県所沢市出身の28歳。埼玉・豊岡高から陸上を始め、城西大で400メートルに専念。17年に富士通入社。五輪では16年リオデジャネイロ、21年東京の男子1600メートルリレー代表。世界選手権では15、17、19、23年と同代表。今季は日本選手権2位、アジア選手権優勝。格闘技好きの父が名前に「拳」を入れた。1メートル73、63キロ。

 ▼佐藤風雅 (佐藤拳の日本新記録を)後から聞きました。偉大な先輩ですね。準決勝で記録を更新したい。追い越して俺が勝ち、と言いたい。(日本歴代3位となる44秒97で予選4組目2着に入り、2大会連続で準決勝進出。パリ五輪参加標準=45秒00も突破)

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