【豊昇龍・強さの秘密(2)】「得意の型がない」のでなく「何でもあり」

[ 2023年7月25日 04:49 ]

<豊昇龍祝勝会>立浪親方(左)らに大杯に酒を注がれる豊昇龍(中)
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 初土俵から所要33場所での優勝は、年6場所制となった58年以降で9番目の速さ(幕下、三段目付け出しを除く)。そのエリート街道の中で、テレビ解説などで物議を醸すのが、四つや突き押しといった得意の型がないという事実だ。豊昇龍自らも「型がない」と言い切る。

 裏を返せば、何でもありが魅力だ。右腕を相手の左脇へ差し込み、左は上手を狙いながら取る右四つもあれば、その逆の左四つもある。「まだ見つかってないんじゃなくて、見つけようとしていない。その型になったら、その相撲しかできなくなる」は豊昇龍の考え。24日の優勝一夜明け会見でも「こっちの方が自分にとってはいい」と“両刀”の利点を強調した。

 突っ張りもできる。足技もある。柔軟な姿勢は、叔父の元朝青龍譲り。名古屋場所の12勝中、決まり手は9通りに及んだ。ただし、師匠の立浪親方(元小結・旭豊)の見方は違う。「右差しもあるが、左四つの型ができてきた」

 例えば名古屋場所7日目、右上手投げで下した朝乃山戦。自身より26キロも重い元大関を豪快に土俵へ叩きつけた。「部屋で明生と稽古をすると差し負ける。勉強してます。伸びしろはありますね」。相撲巧者の兄弟子・明生は左四つ得意。相四つとなる左四つが自然と磨かれていると分析する。

 大関獲りを経て「勝負するところまでが速くなった」とも師匠は指摘する。“未完”は未知数の伸びしろと同義かもしれない。

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