石浦が引退会見で見せた涙…家族を思い「これ以上の幸せはない。下半身不随は嫌」首のケガ治らず決断

[ 2023年6月7日 21:06 ]

引退会見で涙を流す元幕内・石浦の間垣親方(撮影・前川 晋作)
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 1日に現役引退を発表した大相撲の元幕内・石浦(33=宮城野部屋)が7日、東京・両国国技館内で引退会見を行った。

 昨年春場所で首を負傷。頸椎症性神経根症と診断され、その後は治療を続けたがドクターストップがかかり復帰はかなわず。引退を決断する大きな決め手となったのは、愛する家族への思いだった。

 昨年の夏頃、治療から帰ってきた石浦は、妻・杏子さんと3人の子供たちの寝顔を見てこう思った。「これ以上の幸せはない。健康な体で子どもの成長を見守っていきたい。無理して続けて下半身不随とかになるのは嫌だな」。体を第一に考え、引退に至った。現在は私生活に支障がないほどに回復。会見では、家族への思いを語り出した時、自然と涙があふれた。

 年寄「間垣」を襲名し、今後は部屋付き親方として後進の指導にあたる。「(弟子たちは)それぞれ個性があるので、良い個性を伸ばしていけるようにアドバイスしていきたい」。部屋には身長2メートル4の“規格外”な幕内・北青鵬(21)や新入幕が確実な“令和の怪物”落合(19、伯桜鵬に改名予定)、新十両昇進が決まった1メートル67の“超人”川副改め輝鵬(24)ら個性の強い期待の若手がそろっている。同じ小兵で首にケガを抱える十両・炎鵬(28)や幕下・雷鵬(26)には治療方法やトレーニング方法などを教えており、既に指導者としての役割も担う。

 会見に同席した師匠の宮城野親方(元横綱・白鵬)からは「宮城野部屋を支えていってほしい大きな存在。自分の学んだことを全部、弟子たちに指導してほしい」と今後への期待の言葉をかけられた。父・石浦外喜義氏は名門・鳥取城北高相撲部の総監督。小兵力士たちのお手本である石浦は、今後は間垣親方として宮城野部屋で良き指導者になる。

 なお、断髪式の予定は来年6月1日。国技館の本土俵で、引退相撲の形式で行うという。


 ◇石浦 鹿介(いしうら・しかのすけ)本名=石浦将勝(まさかつ)。1990年(平2)1月10日生まれ、鳥取県鳥取市出身の33歳。鳥取城北高相撲部の石浦外喜義監督の長男として生まれ、5歳から相撲を始める。鳥取西中3年時に全国都道府県中学生大会3位。鳥取城北高3年時に世界ジュニア選手権軽量級優勝。日大1年時に東日本学生体重別無差別級準優勝。日大を卒業後、約半年間のオーストラリア留学を経て宮城野部屋に入門。12年初場所で初土俵。翌春場所で序ノ口優勝。翌夏場所で序二段優勝。15年春場所で新十両。16年九州場所で新入幕。最高位は西前頭5枚目。敢闘賞1回。幕内在位26場所。幕内成績161勝186敗43休。通算成績350勝321敗108休。1メートル73、99キロ。年寄名は「間垣 喜翔」。

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2023年6月7日のニュース