CHARITY X理事 テニス内山靖崇「選手が何をできるかを考える機会が増えれば」

[ 2023年3月23日 16:14 ]

CHARITY Xの理事を務めるテニス内山靖崇
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 スポーツコンテンツ中心のオンラインチャリティーサービス「CHARITY X」が設立され、11日からオークションを開始している。運営法人の理事を務めるテニスの内山靖崇(30=積水化学)が取材に応じ、寄付に対する思いや、復活を期す今シーズンの写真などを語った。

 「CHARITY X」はサッカー元日本代表のMF小野伸二(43=札幌)が代表理事を務める一般社団法人が運営。理事には元陸上選手の福島千里さん(34)も名を連ねる。サイン入りユニホーム、スパイク、ラケットなどに加え、選手と触れ合う機会もコンテンツ化。収益の8割をコンテンツ出品者の意向にそった団体などに寄付する仕組みだ。

 内山は男子国別対抗戦デビスカップで使用したサイン入りラケットを出品。寄付先は日本ブラインドテニス連盟に決めた。「テニス選手の仲間にはチャリティーに興味を持っている選手は多い。でも、どう始めていいか分からない選手が大半なので CHARITY Xの話をすると、皆、前向きに聞いてくれます。今後は錦織(圭)選手、西岡(良仁)選手、ダニエル(太郎)選手らトップ選手にも声をかけてみようと思っています」。今後は自身が代表理事を務める全日本男子プロテニス選手会との連携も視野に入れている。

 CHARITY Xではサッカーの南野拓実(28=モナコ)、酒井宏樹(32=浦和)が昨年のW杯カタール大会で実際に着用したユニホームなども出品されている。当然、人気の高い選手のアイテムには高額な落札価格がつく。内山は「そうそうたるメンバーの中に自分が入って恐縮です」と謙遜しつつ、再び世界トップが集う舞台に戻るための準備を着実に進めている。

 昨年3月のデビスカップで左ふくらはぎを負傷。長期離脱を余儀なくされ、復帰後の9月には今度は腰痛を発症した。22年はシーズンを通して万全の状態でコートに立てず、19年11月に自己最高位の78位を記録した世界ランキングも、現在は286位に低迷。21年ウィンブルドン選手権を最後に4大大会の出場からも遠ざかる。

 腰痛発症後は高い負荷のトレーニングができず筋力が低下したが、今年2月からベンチプレスなど体作りの練習を再開。「2月から体作りのトレーニングができるようになり、昨シーズン後半よりは自分の体が思うように動くようになってきました。ここからが自分のシーズンの始まりかなという感じです」と復活への手応えはある。

 3月下旬からは国内やインドネシアでATPツアーの下のカテゴリーにあたるITFの大会への出場を予定している。4月下旬から韓国で開催されるATPチャレンジャーに参戦し、夏以降にATPツアーの予選にチャレンジする方針。「今季中に世界ランキングの100位台前半には戻りたい。そうすれば24年シーズンのグランドスラム本戦出場も見えてくる。まずはチャレンジャーで優勝したいですね」と力を込める。

 21年には故郷・札幌でプロテニス大会「UCHIYAMA CUP」を創設。子供たちに間近でテニスを観戦してもらいたいとの思いで始め、トーナメント主催者を務める。テニス界の発展、恩返しへの思いは、収益をテニス団体へ寄付できるCHARITY Xにもつながる。

 「試合を見た後に一緒にテニスをしたり、食事をしたりする権利を出品するなど、UCHIYAMA CUPとCHARITY Xをコラボすることもできると思います。テニスを始めるには道具にお金がかかる。それがハードルになっている面もあると思うので、テニスの道具を子供に提供できるような寄付ができればいいとですね。世界を見れば(アンディ・)マレー(英国)が昨年(3月以降)の賞金を全額ウクライナ支援に寄付したり、ビッグサーバーがサービスエース1本につき100ドル寄付するなどテニス界の寄付に対する意識は高い。日本でもCHARITY Xをきっかけに選手が何をできるかを考える機会が増えれば、スポーツ界の未来もより明るくなっていくのではないかと思います」

 テニス界、スポーツ界の発展に向け、コート内外を問わずに、今できることに全力を注いでいる。

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2023年3月23日のニュース