難度で劣る小野塚、金つかむには“板つかめ” 女子HPは高難易度、高回転化時代

[ 2018年2月19日 09:10 ]

平昌冬季五輪 フリースタイルスキー・ハーフパイプ女子

フリースタイルスキー・ハーフパイプ女子の小野塚彩那
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 【今日のツボ教えます】フリースタイルスキー・ハーフパイプ女子は19日に予選、20日に決勝が行われる。日本勢はソチ五輪銅メダリストで、昨年の世界選手権を制した小野塚彩那(29=石打丸山ク)を筆頭に3選手が出場する。ご多分に漏れずに高難度、高回転化が進む現状にあり、難度で劣る小野塚が金メダルを獲得するためには必要なものは?ソチ五輪代表コーチの上野雄大氏(36)が語った。

 五輪初採用のソチで女子の最高難度は2回転半の「900」だった。それが今は3回転の「1080」。板をつかむグラブの精度も高まっており、この4年間で確実にレベルは上がってきた。

 その中で金メダル候補は何人かに絞られる。キャシー・シャープ(25=カナダ)は総合力が高く、男子のように完成度の高い1080に900の連続技がある。Xゲームを制したマディー・ボウマン(24=米国)は滑りは粗いが、技が多くテクニカル。ソチ五輪銀メダルのマリー・マルティノ(フランス)は33歳のママさんライダー。滑りの技術は確かで、オールドスクール(古風)な教科書通りのタイプだ。採点競技なので手堅さはプラスに働くかもしれない。

 小野塚はマルティノに通じる部分がある。滑りの技術があり、安定感と全体のバランスに秀でる。技の見栄えに派手さがなくても、高さのインパクトはある。ただし最高回転は900で1080の技はないため、全員が滑りきった場合、難易度では分が悪くなる。そこで重要になるのがトリック中に板をつかむ「グラブ」の動きだ。グラブをした方がスタイリッシュで独自性が出るため、フリースタイルスキーにおいては非常に重要視される。グラブができないと技として失敗と見なされる。凄くダイナミックで高さもあって高回転。それでも点数が出ない演技というのは、グラブの要素が欠けていることが多い。

 つかむ位置で評価も変わり、板の中心から遠くなればなるほど評価は高い。遠くをつかめば遠心力が落ち、それだけ難易度が上がるからだ。小野塚は全てのジャンプで確実にグラブを取れるかが勝負の分かれ目になる。本人がガッツポーズを見せるのは、高さや回転以外にもグラブをきちんと取れたという手応えのある時だろう。

 前哨戦のXゲームでは小野塚持ち味の高さがやや欠けていた。原因は本人しか分からないし、本人も分かってないのかもしれない。恐怖心や不安があると知らず知らずのうちに調整してしまうことがある。12月に脳振とうを起こした影響なのか、余力を残して温存しているのか。これは滑りを見て判断するしかない。

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2018年2月19日のニュース