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町田 歴史刻むJ1初勝利 パリ世代藤尾ヘッドで決めた! “嫌なこと”徹底で名古屋に1-0

[ 2024年3月3日 04:45 ]

名古屋戦の前半、先制ゴールを決め喜ぶ藤尾(左から2人目)ら町田イレブン
Photo By 共同

 明治安田J1リーグは7試合が行われ、J2から初昇格した町田が名古屋を1―0で破り、2戦目でJ1初勝利を挙げた。前半21分に昨季J2を席巻したロングスローを起点にパリ五輪世代のFW藤尾翔太(22)が先制点を挙げ、このリードを最後まで死守。青森山田高を日本一に導いた黒田剛監督(53)の高い要求に選手が応え、クラブ史に大きな1勝を刻んだ。昨季王者の神戸は柏に0―1で敗れるなど、第2節で全勝チームが消えるのは05年以来2度目となった。

 指揮官がこだわるスコア「1―0」に、黒田ゼルビアのエッセンスが詰まっていた。J開幕の93年は6部相当の東京都3部にいた町田が、「オリジナル10」の名古屋から歴史的J1初勝利。就任2年目の黒田監督は「この一勝が喉から手が出るほど欲しかった。クラブを長年支えてきた方々の強い願いや思いがあった。一つ扉を開けた、歩みを進められたことをうれしく思う」と喜びをかみしめた。

 立役者はパリ世代のエース候補、FW藤尾だ。前半21分、右ロングスローの跳ね返りを拾ったDF鈴木のクロスに、相手守備の間から頭で合わせた。「死角から前に入り込むイメージで、その通りのクロスが来て決め切れた」。守備でも前線から再三のプレスで零封に貢献した。パリ五輪出場を目指すU―23日本代表の主力でC大阪から昨春期限付き加入し8得点。覚悟の完全移籍で新背番号9を背負い、今季初先発で大仕事をやってのけた。

 昨季J2初優勝を果たした町田の戦術に共通するテーマは、自分たちがやりたいことよりも「相手にとって嫌なこと」の徹底だ。敵陣の左右から連発するロングスローもその一つ。開幕節G大阪戦のチームJ1初得点に続き、殊勲の決勝アシストの鈴木は「高さがある名古屋にも脅威になったと思う。僕らがあれだけ狙っているから、跳ね返ったボールも比較的フリーになってくる」。嫌がられてなんぼ、こだわりが生んだ決勝点だった。

 Jリーグ史上唯一、成績での退会(JFL降格)を経験したクラブが、J通算12年目でつかんだ価値ある1勝。早くも全勝が消え、勝ち点4は首位の鹿島と並ぶ。初年度の目標を5位以上に定めた黒田監督は「もっと勝っていかなければならないチーム。上位に引き離されることなく高みを目指す」と宣言した。

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