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【蹴トピ】Bミュンヘン・ケーン 最多得点更新で悲願の初優勝へ

[ 2024年1月31日 06:00 ]

バイエルン・ミュンヘンのハリー・ケーン(AP)
Photo By AP

 ドイツ1部で今季からバイエルン・ミュンヘンに加入したイングランド代表FWハリー・ケーン(30)がゴールを量産している。今季19戦目だった27日のアウクスブルク戦で23点目を決め、シーズン最多記録に並ぶ41点ペース。リーグ12連覇を狙う名門で悲願の自身初タイトルに挑んでいる。

 リーグ戦で初めて2戦連続不発だったケーンがアウクスブルク戦で改めて力を示した。2―1の後半13分にこぼれ球を予測したかのような位置取りから右足でゴール。この1点が効いて3―2で勝ったBミュンヘンは裏カードで引き分けた首位レーバークーゼンに勝ち点2差に迫った。2節後の2月10日に直接対決を控え、首位浮上を見据えたケーンは「最高のアウェー勝利」とSNSで発信した。

 リーグ史上最高の総額1億1000万ユーロ(約177億円)とされた移籍金でトットナムから加入。デビュー弾の開幕戦からゴールを重ねた。ハットトリックを達成した5戦目の時点でクラブ新の7得点とし、その後も勢いは衰えない。「得点のため正しい位置に入ろうと努力しているだけ」と控えめだが、プレミアリーグで得点王3度の決定力は健在だ。マークを外す鋭い動きでサネやムシアラらチャンスメークに優れた周囲からパスを引き出し、5アシストを記録するなど収めたボールを返すパサーとしても一流。リーグ最多56得点の攻撃力を支える。

 ドイツ1部の得点記録はゲルト・ミュラーが71~72年に残した40点が長らく最多だったが、20~21年にレバンドフスキが41点で49年ぶりに更新。いずれもBミュンヘンで一時代を築いた名手だが、ケーンも劣らない。19戦23得点はシーズン換算41点と2人に匹敵するペースだ。新記録が期待される中で「いいスタートを切ったから3月か4月にもう少し近づければ」と訴える。

 11歳で下部組織に加入したトットナム時代はリーグ優勝がなく、カップ戦も19年欧州チャンピオンズリーグなど準優勝止まり。タイトルを求めて移籍した男にとって優勝してこそ記録が意味を持つ。

 Bミュンヘンはリーグ11連覇中。モチベーション維持の難しさを指摘する声もあるが「チームはとてもハングリーと感じている。それを示さないと」とケーン。自身のゴールでVロードを切り開く。


 ≪「彼は怪物」GKノイアーも称賛≫ イレブンはケーンに全幅の信頼を寄せる。パスを供給するトーマス・ミュラーは「何でもできる選手。我々は彼をポジションに導くだけでいい。シュートを打てばゴールの可能性がある」と指摘。GKノイアーは「彼は怪物」と万能ぶりを称賛する。トゥヘル監督はピッチ内外でのプロ意識を評価。「彼はどれだけハードに練習するか。敗戦の翌日には控え選手と一緒に真っ先にピッチに出てくる。次の試合に勝つ可能性を高くする。我々の選手を良くしてくれるんだ」と語っている。

 ◇ハリー・ケーン 1993年7月28日生まれ、英国ロンドン出身の30歳。11歳で育成組織に加入してから下部クラブへの期限付き移籍を除いてトットナムで活躍し、クラブ最多の公式戦280得点を記録。プレミアリーグ歴代2位の213得点を挙げ、得点王は16、17、21年の3回。23年夏にBミュンヘンに移籍した。15年からイングランド代表で89試合に出場して同代表最多の62得点。主将も務め、18年W杯ロシア大会では得点王。利き足は右。1メートル88、85キロ。


 ◇記録アラカルト

 ☆好発進 リーグ初出場から5試合で7得点。ゲルト・ミュラーやクローゼ、マンジュキッチの5戦5発をかわすクラブ新記録。

 ☆伝統の一戦 「デア・クラシカー」と呼ばれるドルトムントとの注目対決で初出場ハットトリックは史上初。リーグ初出場から10戦15発はリーグ創設1年目の63~64年にマティシャク(シャルケ)が残した13点を更新。

 ☆得点王超え 昨季得点王のヌクンク(ライプチヒ)とフュルクルク(ブレーメン)は16点でタイトルを獲得したが、ケーンはリーグ新記録の開幕11戦17発であっさり更新。

 ☆イングランド選手最多 ドイツ1部での従来の記録は19~20年サンチョ(ドルトムント)、78~79年キーガン(ハンブルガーSV)の17点だったが、ケーンは12戦で18点。

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