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小野伸二引退 背番号と同じ「44」歳の誕生日に さらば異能のファンタジスタ

[ 2023年9月28日 05:30 ]

今季限りの引退を報告した小野伸二のインスタグラム(shinjiono7から)

 コンサドーレ札幌の元日本代表MF小野伸二が背番号と同じ「44」歳となった誕生日の27日午後2時44分、今季限りで現役を引退することを自身のインスタグラムで発表した。98年W杯フランス大会に日本代表史上最年少の18歳272日で出場したレジェンドは、近年は満身創痍(そうい)で出場機会が限られていた。今後はクラブに残り要職に就任する見通し。希代のファンタジスタが26年のプロ生活に別れを告げる。

 世界に誇る日本の宝も気がつけば44歳。小野が輝かしいプロキャリアにピリオドを打ち、スパイクを脱ぐ決断を下した。誕生日のこの日、自身のインスタグラムに「サッカーと出会い39年間もの間、僕の相棒として戦ってくれた“足”がそろそろ休ませてくれと言うので、今シーズンを最後にプロサッカー選手としての歩みを止めることを決断しました」とメッセージをつづった。

 少年時代から世代別代表の中心としてプレーし、清水商から98年に浦和へ入団。ルーキーイヤーから新人賞とベストイレブンに輝いた。同年には最年少でW杯代表となり、99年には主将として日本初の世界ユース選手権(現U―20W杯)準優勝に貢献した。しかし、同年のシドニー五輪1次予選でタックルを受け左膝じん帯を断裂。「それまでの感覚が完全に元に戻ることはなかった」という分岐点だった。

 それでも、01年に移籍したフェイエノールト(オランダ)で日本人初のUEFA杯(現欧州リーグ)優勝を経験。その後も度重なる故障と付き合いながら、ドイツ、オーストラリアなど国内外7クラブを渡り歩き、強烈な光を放ち続けた。

 誰よりもサッカーを楽しみ、誰をも楽しませた。正確無比な両足からの「エンゼルパス」に、足元にピタリと吸い付く芸術的なトラップは代名詞で、元オランダ代表FWファンペルシーやMFスナイダーらスター選手からも「天才」と評された。W杯は3度出場し、98年フランス大会ではファーストタッチで相手の股を抜く鮮烈なデビュー。02年日韓大会、06年ドイツ大会と3大会連続で出場し、日本サッカー界を第一線で引っ張った。

 自身最長8シーズン半在籍した札幌に愛着を持つ。これまでも「クラブは本当にアットホーム。関係者含めて家族的な感じになっている」と話しており、クラブ側も要職を用意する方針だ。今後はフロント入りする可能性が高いが、見聞を広めるためにクラブに籍を置いたままさまざまな活動を行う選択肢もある。現役生活に区切りをつけても、目が離せない存在であることは間違いない。

 ◇小野 伸二(おの・しんじ)1979年(昭54)9月27日生まれ、静岡県出身の44歳。98年に清水商(現清水桜が丘)から浦和に加入し、Jリーグをはじめオランダなどで活躍。日本代表でW杯3大会出場、国際Aマッチ通算56試合6得点。1メートル75、75キロ。利き足は右。家族はモデルの千恵子夫人と長女・夏蓮(かれん)さん、次女・里桜(りお)さん。

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