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J2町田移籍のバスケス会見 決め手は恩師の存在「裏切り者扱いは覚悟の上」東京Vには感謝

[ 2023年7月6日 23:53 ]

町田加入会見に臨むMFバスケス・バイロン(右)と原靖フットボールダイレクター
Photo By スポニチ

 J2東京VからJ2町田へ完全移籍が6日に発表されたMFバスケス・バイロン(23)が同日、チーム練習に合流した。練習後には加入会見に臨み、決断の理由を語った。

 J1昇格を争うJ2の2位クラブの主力がシーズン中に首位クラブへ移るといういわば“禁断の移籍”だけに、衝撃度は大きい。バスケス自身も町田からオファーを受け「悩みに悩んだ。そんな勇気はない、さすがにこのタイミングで移籍はできないと正直思っていた」という。それでも決断した決め手は、青森山田で指導を受け、自身をプロの世界に導いてくれた黒田剛監督の存在だった。

 「中3の時に埼玉のクラブチームにいた僕のところに来て、オレが育てる、絶対プロにするからと言ってくれた。高校3年間お世話になり、プロになれたのも黒田監督に育ててもらったから」。さらに「J1そして海外、日本代表という夢に向かっていくため。こんなタイミングで普通オファーは来ない。これも縁だと思い、大きな覚悟を持って飛び込んだ」と明かした。

 今季黒田監督とは5月の対戦時にあいさつした程度で、移籍に関しては決断まで一切話していなかったという。決定後に「よろしくお願いします」と連絡すると「“いろんなことを言われると思うけど、一緒に夢を追いかけよう、覚悟を持って来いよ”と言ってくれた」。この日の練習後も、1対1で数分間言葉をかわす場面もあった。

 主力として本気でJ1昇格を目指していただけに、東京Vやサポーターへの複雑な思いもある。「裏切り者扱いされることは、正直覚悟の上。でも短いサッカー人生の中で、このタイミングでという決断に至った。応援してくれる人、くれない人もいると思うけど、いろんな人の意見をパワーに変えてピッチの上でやるしかない」。質疑応答後にも、自ら古巣について言及し「試合でサポーターが声を掛けてくれる光景には、毎試合鳥肌が立っていた。移籍してそんなことも通じないと分かっているけど、クラブの監督や選手も含めて感謝の気持ちしかない」と言葉を重ねた。

 会見には原靖フットボールダイレクターも出席し、バスケス獲得に至った経緯を説明した。「J2優勝とJ1昇格に向けて何が必要なのかを監督と常に話す中で、サイドからの攻撃をさらに充実させたい考えがあった。大活躍している選手なので、交渉も一筋縄ではいかない。彼に関係する方々全てと、彼の覚悟に感謝したい」。町田で出場可能となるのは22日千葉戦から。9日に国立競技場で東京Vとのダービー戦「東京クラシック」を控えるタイミングでの発表は「交渉が終わり、できるだけ早く合流できるように」との配慮で、特別な意味はないとした。

 バスケスはチリ出身で、9歳で家族とともに来日。青森山田では、2018年度の全国高校選手権で同校2度目の優勝を果たした。卒業後は当時東北社会人リーグのいわきに加入。チリ1部クラブに期限付き移籍などを経て、昨季から東京Vでプレー。今季出場22試合で2得点だった。日本国籍取得を申請中で、今秋にも取得の見通しとなっている。

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